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プロ野球PRESSBACK NUMBER
源田壮亮でも今宮健太でもなく…プロ野球“歴代No.1ショート”は誰? 元ロッテ名選手が挙げる“意外な名前”「忍者のように現れてアウトに」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byL)Hideki Sugiyama/R)JIJI PRESS
posted2024/08/10 11:01
1980年代にロッテで活躍した名ショート・水上善雄さんに「12球団No.1遊撃手」を語ってもらった
「面白かったかもしれませんね。ただ、肩も強くて、トリプルスリーを達成した松井稼頭央ですら、セカンドに回されましたからね。どんな世界なんだと思いましたよ。全盛期の小坂誠なら、守備は通用したと思いますよ。フィールディングに限っていえば、プロ野球の歴代No.1ショートは小坂です。源田よりも、さらに確実性が高くて上手い。忍者のように突然現れて、ボールをかっさらってアウトにする。普通なら片手で捕ってランニングスローするような場面でも、小坂は正面で捕って正確な送球をできる」
守備範囲が広い上にエラーも少ない小坂は、ロッテ日本一の05年には遊撃のポジションに112試合就いて、守備率.993を残している。
「メジャーのショートに…」育てられなかった後悔
水上はメジャーで通用する遊撃手の条件に「身体能力の高さ」「肩の強さ」を挙げる。07年から3年間務めた日本ハムのコーチ時代、その基準に届く選手がいた。
「陽岱鋼(当時・仲壽)は三遊間の深い所で捕った後、ジャンプしてファーストに強いボールを投げられたんですよ。そんな選手、メジャーでしか見たことない。しかも、逆方向にホームランも打てるし、足も速い。『これは行ける』と」
だが、水上の意思と球団の方針は一致しなかった。陽は08年、イースタン・リーグの遊撃手で最下位(規定以上)の守備率.947、一軍でも遊撃手の守備率.922と安定感に欠け、翌シーズンの途中に外野へコンバートされた。
「当時の日本ハムは確実な守備を望んでいた。スーパープレーをする選手は得てしてイージーミスをしがちなんです。私の野球人生で後悔があるとすれば、陽岱鋼をメジャーに行けるショートに育て上げられなかったことです」
メジャー日本人ショートは生まれるか
次世代で期待を持てるショートはいるのだろうか。
「明治大学の宗山(塁)は面白い存在です。取って投げるまでの感覚も優れているし、身体能力も高いですからね。俊敏性を養うと、もっと良くなる。実際には、20代半ばまでにメジャーに行けるか。それも大きなポイントですから、FAの短縮も関係してきます。松井稼頭央だって数年早ければ、違う結果になったかもしれない。ただ、今はトレーニング方法が進化して筋肉の質が変わっていますし、選手寿命も延びている。いずれ、評価を覆す選手は出てきますよ」
常識は打ち破るためにある。メジャーリーグで日本人の長距離打者は通用しないと言われてきたが、大谷翔平はホームラン王に輝いた。世界を驚かすショートはいつ出るか。
〈つづく/「坂本勇人“だれも指摘しない”不調だった原因」編〉