「水上さんね、今宮は肩だけで投げちゃうんですよ。三遊間のゴロを捕った後、ノーステップで放る。もっと足を使えば、肩の負担がかなり減るんですけどねー」

　欠場したら困る選手であると添えながら、監督の言葉を伝えると、今宮は納得の表情を見せた。

「本人もよくわかっていて、足を運びながらの送球練習を繰り返しました。でも、試合になると、やっぱり肩に頼ってしまう場面が多かった。サードのマッチ（松田宣浩）からも信頼されていましたよ。マッチは自分が捕れそうな打球でも、すぐに今宮を見ていた（笑）。実際、今宮の守備範囲だと追い付くんですよ。『マッチ仕事しようぜ』と声を掛けると、『今宮が捕ってアウトにしますから大丈夫です』と言ってました」

リスク背負って沸かせる…今宮の魅力

　手術後も、今宮は自分のスタイルを変えなかった。だが、2018年は開幕から打撃の調子が上がらず、右ヒジの不調で6月13日に二軍落ち。約1カ月後の復帰以降は盛り返すも、9月17日の西武戦で初回の守備中に左足太もも裏を痛め、戦線離脱。チームはクライマックスシリーズを勝ち上がって日本一になったが、歓喜の輪には加われなかった。

「今宮はケガのリスクを背負っても、自分のプレーをしたい。私も同じタイプだから、気持ちは理解できました。ショートにとって『普通のプレーをする』のは当たり前。もう1ランク上を魅せたい。三遊間の深い所から強肩で刺せば、球場も沸く。まさにプロだし、その精神があるからショートを続けられる。でも、チーム事情を考えたら、1年通して出なきゃいけない。ここが難しい所なんです」

今季もショートで活躍している ©Nanae Suzuki

　工藤監督の方針もあり、ソフトバンクはデータを元に守備位置を動かしていた。だが、今宮は指示に頷くタイプではなかった。

「よくシカトされました（笑）。でも、それで良いんです。私も現役の時に勘が働いて、常識外の守備位置でアウトにしたこともあったから、最終的には野手の感性に任せると決めていました。今宮はある程度の範囲なら追い付けるから、無理に守備位置を変える必要もないと判断していたのでしょう」

今宮でも源田でもない…歴代No.1ショートは？

　現在、今宮は33歳、源田は31歳と中堅の域に入っている。仮に若い頃、メジャーリーグに挑戦していたら、通用していたのだろうか。

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