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球体とリズムBACK NUMBER
EURO注目はエムバペ25歳、C・ロナウド39歳だけでなく…「天才レフティ、ハットトリック達成者の息子」「名将絶賛の19歳」ダークホース国の逸材
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byEtsuo Hara,Boris Streubel-UEFA/Getty Images
posted2024/06/22 17:01
EUROのスターと言えばエムバペとクリスティアーノ・ロナウドだが……ダークホース国で知っておきたい逸材たちとは
さらに後半にはロングカウンターから、最後はラズバン・マリンがボックス外から思い切りよく決めて加点。その4分後の57分には、CKからデニス・マンが速いクロスを入れ、中央のドラグシュが詰めて試合の行方は決した。
注目株はスパーズの22歳CB、そして天才レフティの息子
守備陣では青い髪のライトバック、アンドレイ・ラツィウが外見だけでなくエネルギッシュなプレーで目立ったが、最大の注目株は鋭い読みと果敢なブロックが光った22歳のCBラドゥ・ドラグシンだろう。
191センチの長身DFは10代半ばでユベントスに引き抜かれ、イタリアを転々とした後、今年1月にトッテナム・ホットスパーへ移籍。アンジー・ポステコグルー監督のもと、終盤戦に先発で起用されるようになったが、まだまだその異才の片鱗しか覗かせていないはずだ。
「驚くべき才能の持ち主だ」と主将のスタンチュは地元メディアに話した。
「まだまだ若いし、練習では意欲的に成長しようとしている。世界屈指のストッパーになれるに違いない」
3点リードした後に途中投入された10番は、かつて“東欧のマラドーナ”と呼ばれたゲオルゲ・ハジの息子ヤニス。楽しい発見の多い今大会のルーマニアを、できるだけ長く観られるといい。
《トルコ》EURO2008の熱狂は再び訪れるか
★グループF★
トルコ 3-1 ジョージア
(トルコ:メルト・ムルドゥシュ 25分、アルダ・ギュレシュ 65分、カレム・アクトゥルコール 90+7分 ジョージア:ゲオルゲス・ミカウターゼ 32分)
6チーム目には、まだ扱っていないグループDから選ぶべきかもしれないが、初戦でジョージアとの“黒海ダービー”を制したトルコに惹かれてしまう。
筆者はかつてUEFA公式サイトで働いていた頃、EURO2008を現地で取材した。この時、個人的にもっとも強く印象に残ったのは、初優勝したスペインではなく、トルコだった。読者の方も覚えているかもしれないが、あの大会で彼らは文字通り、死の淵から生還して4強入り──同国代表のベストレコードだ──を果たしている。
初戦に敗れ、以降の2試合ではどちらも終了間際のゴールで逆転し、クロアチアとの準々決勝では延長追加タイムに追いついてPKで勝利。チェコとのグループステージ3戦目は実際に現場で取材し、2点ビハインドの75分からの怒涛のゴールラッシュに度肝を抜かれた。また開催地のスイスにはトルコからの移民が多く、鬼のような形相で狂喜乱舞するサポーターを目のあたりにして、鳥肌が立ったことを覚えている。
今回のトルコにも、同じ匂いがする。