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球体とリズムBACK NUMBER
EURO注目はエムバペ25歳、C・ロナウド39歳だけでなく…「天才レフティ、ハットトリック達成者の息子」「名将絶賛の19歳」ダークホース国の逸材
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byEtsuo Hara,Boris Streubel-UEFA/Getty Images
posted2024/06/22 17:01
EUROのスターと言えばエムバペとクリスティアーノ・ロナウドだが……ダークホース国で知っておきたい逸材たちとは
「士気の高いチェコを相手に、簡単な試合など予想していなかった」と殊勲のマルティネス監督は振り返った。
「決定力に優れる彼らは枠内シュート1本しか記録していないが、それを得点に結びつけた。精神面が問われる試合だった。我々は70%のポゼッションをマークし、13度のコーナーキックを得たが、1点を追っていたので、メンタルをコントロールする必要があった。今日、チームが見せた気概は素晴らしいものだったと思う」
指揮官はそんな風に選手たちのキャラクターを讃えたが、攻撃時の4-2-3-1から守備時には相手の布陣に合わせて5バックとする可変システムをスムーズに植え付けていることからも、戦術家としての技量をあらためて示したと言える(ジョアン・カンセロら器用な役者の存在も大きい)。
疲れの色が見えたロナウドを最後までピッチにとどめたのは、評価が分かれるところかもしれないけれども。
《ルーマニア》代表監督は父親の“跡継ぎ”
★グループE★
ルーマニア 3-0 ウクライナ
(ルーマニア:ニコラエ・スタンチュ 29分、ラズバン・マリン 53分、デニス・ドラグシュ 57分)
ダークホースとしては、ベルギーを下したスロバキアを取り上げるべきかもしれないが、同じグループEでオレクサンドル・ジンチェンコやミハイル・ムドリク、アルテム・ドブビクら、好タレントを擁すウクライナに3-0の快勝を収めたルーマニアを推したい。
エドゥアルド・ヨルダネスク監督は、父アンゲルが3度にわたって率いた母国の代表を2022年1月から任されると、組織的なチームを築き上げ、予選を負けなしの首位で通過した。指揮官同様に、選手のほとんども国際的におよそ無名だが、誰もが懸命にハードワークし、攻守に統制された動きを見せる。
初戦でもポゼッションにはこだわらず、コンパクトな4-1-4-1のフォーメーションでプレスをかけ、ボールを奪ったら1トップのデニス・ドラグシュに当てて自分たちの時間を作ろうとした。そして29分にハイプレスから右サイドで球を奪うと、主将のニコラエ・スタンチュが折り返しに合わせて、豪快なミドルシュートを左のトップコーナーに突き刺して先制。サウジアラビアのダマクでプレーする31歳のMFは、「自分のキャリア最高のゴール」と喜んだ。