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EURO注目はエムバペ25歳、C・ロナウド39歳だけでなく…「天才レフティ、ハットトリック達成者の息子」「名将絶賛の19歳」ダークホース国の逸材 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byEtsuo Hara,Boris Streubel-UEFA/Getty Images

posted2024/06/22 17:01

EURO注目はエムバペ25歳、C・ロナウド39歳だけでなく…「天才レフティ、ハットトリック達成者の息子」「名将絶賛の19歳」ダークホース国の逸材<Number Web> photograph by Etsuo Hara,Boris Streubel-UEFA/Getty Images

EUROのスターと言えばエムバペとクリスティアーノ・ロナウドだが……ダークホース国で知っておきたい逸材たちとは

 まず何より、そのファンベースだ。ドイツにはスイス以上にトルコからの移民が多く(ドイツ最大で、その数はおよそ154万人。現地で生まれたトルコ系と合わせると約300万人とも)、ドルトムントでのジョージア戦にも多くのサポーターが駆けつけ、さながらホームのような雰囲気を醸し出していたように見えた。

 チームは試合が始まると、前傾姿勢の小気味良いパスワークでイニシアチブを取り、シュートコースが見えたら、誰もが遠くからでも豪快にゴールを狙う。10分にドイツ生まれのセントラルMFカーン・アイハンが強烈なミドルで左ポストを叩き、25分には左からのクロスがDFにふわりとクリアされると、ボックス際の落下地点に素早く入った右SBメルト・ミュルデュルが、右足の完璧なボレーで右のトップコーナーを撃ち抜いた。大会最優秀ゴールの候補が早くも飛び出した。

19歳天才ギュレルのスーパーゴール

 前半のうちにジョージアに追いつかれたが、65分にレアル・マドリーに所属する19歳の天才アタッカー、アルダ・ギュレルが壮観なロングシュートを左上隅に叩き込んで勝ち越し。これもまた、大会ベストゴールのひとつに数えられそうだ。

 マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督が「天与の才の持ち主」と評すシャイなレフティは、クリスティアーノ・ロナウドが保持していたEURO本大会でのデビュー戦における史上最年少得点記録を塗り替えた。試合後にこのスーパーゴールについて訊かれると、ギュレルははにかみながら次のように応じている。

「欧州選手権で得点するのは、トルコのサッカー少年全員の夢だよ。全体練習の後に居残りで続けていたハードワークが報われた。この調子を維持して、僕らの最高のファンを幸せにしたい」

 終盤にはクビチャ・クバラツヘリアやギオルギ・ツィタイシュビリら曲者を擁すジョージアの猛攻を受けながらも、最後に相手のCKからの逆襲に抜け出したカレム・アクトゥルコールが無人のゴールに流し込んだ。トルコらしいスリリングな勝利だった。

 イタリア人のビンチェンツォ・モンテッラ監督が率いているこのチームの最大の特長は、思い切りの良い攻撃にある。守備面の脆さは散見されたが、熱いサポーターの声援を背に勢いに乗って攻め切れば、道は開けるか。

第1回「優勝候補」編からつづく>

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