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バレーボールPRESSBACK NUMBER
肝っ玉母ちゃんが鍛えた“泣き虫ゆうじ”の成長記録「西田有志はベンチで踊っていればいい」辛辣エールは愛情の裏返し「私たちもさりちゃんが大好き」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byVolleyball World
posted2024/06/08 11:03
日本代表に欠かせない存在に成長した西田有志(22歳)。重苦しい空気を打破するパワーはパリ五輪でも頼りになるはずだ
イタリアに渡っても、日本代表としてオリンピック選手になっても、連絡があるのは用事がある時だけ。世間を賑わせた女子日本代表キャプテン古賀紗理那との結婚も、「結婚したい人がいる」と聞かされるまで知らなかった。
「古賀紗理那? いや、嘘やろ、あんた紗理那さんよ、古賀さんよ。お前じゃ合わんわって言ったぐらい驚きました(笑)。でもね、有志はさりちゃんが大好きやし、私たちもさりちゃんが大好き。嫁とか家族とか、そんなんじゃなく、今はもう、ただのファンなんですよ」
「有志はベンチで踊っていればいい(笑)」
夏になれば、パリ五輪が開幕する。Vリーグはもちろん、日本代表戦まで、全国各地を飛び回って息子の活躍を現地で応援する二人からすれば、もし女子もネーションズリーグで出場権を獲得すれば、パリは息子と嫁のどちらの応援もできる絶好の機会となる。
「有志は盛り上げ役だから、コートでもベンチでもどこにいたっていいんです。むしろ勝つためなら宮浦くんが出ればいいし、有志は何ならベンチで踊っていればいい(笑)。あんたはあんたのやることをやりなさい、と。それだけですよ」
母から愛息へのエールはこれまた辛辣だ。それでも、ふとした言葉に本音と愛情をのぞかせる。
「(昨年の)ネーションズリーグでメダルを獲って家に帰って来た時、ものすごく素っ気なく『はい』って銅メダルを置いて帰った。悔しかったんでしょうね。私らもあの時、(欠場した)有志がコートにいたらよかったと思ったし、それはオリンピックも同じ。とにかくね、沈んだらどんな時でも盛り上げろよ、と。試合に出ようが出まいが、私たちは(パリに)行って応援できたら最高ですね」
厳しさの中に溢れる愛情を込めて。その日を、心待ちにしている。
〈前編から続く〉