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「西田有志の妻、と言われるのは嫌です(笑)」古賀紗理那が語る“文句ナシのMVP”に選ばれるまでの猛練習「紗理那は才能だけじゃない」
posted2024/03/11 17:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kiichi Matsumoto
文句なしのMVPだった。
「勝ったら、泣くと思っていたんです。それぐらい、今シーズンは懸けてきたので」
3月3日、Vリーグ女子決勝。リーグ戦全勝のJTマーヴェラスに3対1で勝利し、自身4度目の優勝を決めた。勝利の瞬間、古賀紗理那(NECレッドロケッツ)は満面の笑みで両手を突き上げた。
「終わったー、勝ったー、ってホッとしました。泣くどころじゃなかったですね(笑)」
昨秋のパリ五輪予選を終え、10月の開幕から5カ月間を戦いきった。歓喜の翌日、「あっという間だった」という日々を古賀が振り返った。
妥協ナシ、ひたすら走ったのはなぜ?
五輪予選での出場権獲得は叶わず、直後にVリーグが始まった。リーグ制覇だけでなく、パリ五輪へつながるレベルアップ、スキルアップをいかに果たせるか。古賀が求めたのは「高さ」だった。
ごくシンプルに相手より高く跳び、高い打点から打つ。そのために毎週水曜、NECでスポット指導する里大輔氏(パフォーマンスアーキテクトハイパフォーマンスディレクター)によるトレーニングでひたすら走った。
15秒、10秒とタイムを設定し、そのタイム内に自分がどれだけ走れるか。15秒で80m走れる人もいれば、70mが限界という選手もいるように、それぞれが「ここまでチャレンジする」という距離を目標に定める。6本×3セット、朝からとにかく全力で走って、ボール練習は午後から。当初は午前練習を終えた時点で疲労困憊になり、「ここからボールなんて無理」と思っていたが、積み重ねて行くうちに身体も変わった。ダッシュやジャンプ、単発練習を徐々にバレーボールの動きに落とし込む作業は根気も必要だが、「高く跳ぶ」という目標のために不可欠だとわかっていれば、妥協する理由はない。
成果を実感したのは、試合が続く中、疲労が蓄積するはずのリーグ中盤を過ぎてからだった。