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「クソ悔しい」石川祐希も指摘した宮浦健人の“消極的なプレー”…それでも、“背番号4”に期待してしまう理由「パリで目撃した限界突破の筋トレ」
posted2024/06/08 17:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
世界ランク1位の相手に対して、1本目のプレーが自分から始まる。
高ぶる気持ちを抑え、冷静に。一度高くトスを上げ、息を吐く。何度も繰り返したルーティンで、いつも通りに。宮浦健人は静かに燃えていた。
バレーボールネーションズリーグ(VNL)福岡ラウンド3試合目、強豪ポーランドとの一戦は日本のサーブから。最初のサーバーが宮浦だった。
エンドの中央エリアから狙い通り、得意なコースへ打ったサーブで意識したのは「攻める」よりも「正確さ」。
「サーブはメンタル的な要素、影響が強いので。最初の1本はまず入れて、次は攻めよう、と決めていました」
間違いではない。むしろ、最初の1本なのだから、ミスのリスクを減らすことを優先するのは正しい選択だったかもしれない。ただ、爆発する姿を何度も見てきたからこそ、しかもそのきっかけがサーブである場面が色濃く焼き付いているからこそ、少し物足りなくも感じた。
もっと攻めればいいのに。もっと攻める力があるのに。
最初のサーブだけでなく、宮浦自身も「序盤にブロックで止められて、よくないイメージが残ってしまった」と明かしたように、中盤以降は本来の持ち味である豪快さとしなやかのあるスパイクで得点する場面もあったが、「それが続かなかった」と反省の弁を述べた。
世界ランク1位の相手にストレートで敗れたことよりも、不完全燃焼で終えた試合に、宮浦も落胆しているように見えた。
「(試合前の声援を受けて)期待して下さっている方がたくさんいるのを感じました。だから今日、そこで自分のパフォーマンスができなかったのが、すごく悔しいです」
大きな壁の前で、宮浦はもがいていた。