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賛否両論の町田ゼルビアらしさはロングスローだけでない…「実に見事」浦和DFマリウスが称える強みと“帰宅難民になりがち”ホームの魅力

posted2024/06/04 11:03

 
賛否両論の町田ゼルビアらしさはロングスローだけでない…「実に見事」浦和DFマリウスが称える強みと“帰宅難民になりがち”ホームの魅力<Number Web> photograph by FCMZ

試合前、サポーターと触れ合った後に笑顔のミッチェル・デューク。「天空の城」と銘打つゼルビアのホームスタジアムが持つ異色さとは

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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 今季J1で最も異彩を放っているのは、町田ゼルビアだろう。黒田剛監督が指揮するチームはロングスローやフィジカル重視のスタイルを打ち出し、賛否両論を呼ぶことも多い。その異色ぶりはアクセスが限られるホームスタジアムなどピッチ外も含めてのもので、独特の魅力をホーム戦取材で感じ取った。

 今季のJ1で、地球規模でもほぼ前例のない偉業が果たされるかもしれない。

 第17節を終えたリーグで首位の座を維持している町田ゼルビアが、もし最終的に頂点に立てば、フットボールの世界史にその名が刻まれることになる。

初昇格→初優勝は欧州主要リーグでも超異例

 まだシーズンの半分も消化していないなか、気の早い話ではある。とはいえ、前半戦の終盤にトップを走っていることだけでも、特筆に値する。

 なにしろ、下部リーグから初昇格してきたばかりのチームが優勝したケースは、欧州主要リーグでも1961-62シーズンのイプスウィッチ・タウン(イングランド)だけなのだ。1998年にブンデスリーガを制したカイザースラウテルン、1978年にイングランド1部リーグで優勝したノッティンガム・フォレスト、1932年に同じことをしたエバートンは、いずれもその前に1部リーグに在籍していたことがある。

 国内では、2011年に柏レイソル、2014年にガンバ大阪が、昇格1年目にJ1を制覇しているものの、いずれも以前にJ1を経験していた。韓国のKリーグでは、2013年に2部制になってから、昇格チームが優勝したケースは1度もない。アメリカのMLSでは、シカゴ・ファイアーがリーグに加盟した1998年にリーグとカップの2冠を果たしているが、あくまで新規参入という形だった(MLSは昇降格のない1部制)。

 あるいはもっとマイナーなリーグはその限りではないかもしれないが、少なくともJリーグと同等か上と思われるリーグで、初昇格、即優勝した事例は確認できなかった。

浦和DFマリウスが「実に見事」と称賛したワケ

 町田は前節、国内随一の威容を誇る浦和レッズの本拠地で、終了間際に勝ち越し点を奪い、劇的な2-1の勝利を収めた。後半アディショナルタイムに下田北斗がPKを決めると、まるで決勝戦に勝ったかのように全員で喜びを爆発させていた。

 この5月26日は黒田剛監督の誕生日。自身の記念日を白星で祝った指揮官は試合後、次のように話している。

【次ページ】 浦和DFマリウスが「実に見事」と称賛したワケ

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