球体とリズムBACK NUMBER
賛否両論の町田ゼルビアらしさはロングスローだけでない…「実に見事」浦和DFマリウスが称える強みと“帰宅難民になりがち”ホームの魅力
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byFCMZ
posted2024/06/04 11:03
試合前、サポーターと触れ合った後に笑顔のミッチェル・デューク。「天空の城」と銘打つゼルビアのホームスタジアムが持つ異色さとは
この日は前節と異なり、勝負どころで流れを引き寄せることができず、小見洋太に先制された後にすぐ藤尾翔太が同点としたところまではよかったが、前半終了間際に藤原奏哉に勝ち越され、後半に相手の直接FKがDFに当たってオウンゴールとなり、突き放された。
「立ち上がりから町田のサッカーができなかった」と試合後に黒田剛監督は話した。「それぞれの気持ちの準備が足りなかったし、いろんな局面で甘さ、緩さが出てしまった」
4連勝を逃し、リーグ戦の無敗も6で止まり、元青森山田高サッカー部の監督は、怒りと悔しさを滲ませていた。かたや、実際にピッチでプレーしていた選手の中には、異なる感じ方を明かした人もいる。
「監督は気持ち(の問題)とおっしゃったかもしれないですけど、そこは全員が持っていたと思います」と話したのは、U-23日本代表のFW藤尾翔太だ。「球際(の競り合い)は6、7割は勝てていたし、失点した時は取られ方が悪かった。ミスが失点につながっていたので、イージーミスを修正していくことが重要なのかなと思います」
僕らは皆、自信を持って取り組んでいるよ
一方、ジョーカーのひとり、オーストラリア代表FWミッチェル・デュークは、あらためて監督とチームへの信頼を口にした。
「初めてのトップディビジョンでこれほどの快進撃を見せられているのは、ひとえに監督のおかげだよ。もちろんプレーしているのは僕ら選手だけど、タフなメンタリティーや勝負に徹する姿勢を植え付けてくれているのは、彼だからね。
映像のセッションも多く、そこで相手の強みと弱みをつまびらかにしつつ、自分たちのプレーも分析する。優勝? できると信じているよ。上位のチームにも勝っているしね。今日のように、下位のチームから取りこぼしてしまうところは改善しなければならないけど、僕らは皆、自信を持って取り組んでいるよ。楽しいホームスタジアムもあるしね」
絶対的な強者のいないJ1で、町田の旋風はどこまで続くか。次のリーグ戦は、代表戦明けに組まれている横浜F・マリノスとのアウェー戦だ。アジアで準優勝した相手にも、指揮官が強調する「町田らしいサッカー」を展開できれば、勝機は十分にあるだろう。