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51戦無敗で最強バイエルンの12連覇を阻止、日本代表選手も脱帽「レバークーゼン」なぜ強い? 「シャビ・アロンソから物語は始まった」 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph bydpa/JIJI PRESS

posted2024/05/28 17:00

51戦無敗で最強バイエルンの12連覇を阻止、日本代表選手も脱帽「レバークーゼン」なぜ強い? 「シャビ・アロンソから物語は始まった」<Number Web> photograph by dpa/JIJI PRESS

レバークーゼンはバイエルンのV11という長期王朝を打ち破り、無敗でブンデスリーガ優勝。そしてドイツ杯(DFBポカール)も制覇し国内2冠を達成

 まさに歴史的なシーズンだった。ドイツサッカーの盟主といえばバイエルンで、事実この11年間ほぼ無風状態で連続優勝し続けていた。僕が昨季監督を務めていたフライブルクにある街クラブのU13で子どもたちとブンデスリーガの話をしていた時には、「優勝はバイエルンとして……」というのが決まりごとのようにさえなっていたが、それもそのはず。ドイツの小学生年代の子どもたちは、生まれてからバイエルン以外のクラブがブンデスリーガで優勝できるということを知らないのだ。

名選手を監督として招聘

 膨大な資金がありながら赤字を絶対に出さない健全経営、スター監督/トップクラスのスタッフが名を連ね、レギュラークラスの選手がそれぞれのポジションに2人以上いるという層の厚さは、国内において他の追随を許さない。《ブンデスリーガとはバイエルンが優勝するリーグ》というのが共通イメージだったとしても何ら不思議なことではない。

 1人の若き指揮官がレバークーゼンへやってきたところから物語は始まった。

 その男の名はシャビ・アロンソ。現役時代、レアル・マドリー、リバプール、バイエルンといった世界的なクラブ、そしてスペイン代表の中軸として数多のタイトルを獲得したワールドクラスのMFだった。「名選手、名指揮官にあらず」とはよく言われる言葉だが、名選手のなかにはもちろん、名指揮官となる資質を持った人物もたくさんいる。

 現役引退後、指導者の道を選んだアロンソは、スペインのレアル・ソシエダのセカンドチームで3年間、監督としての経験を積み、そろそろ次のステップを考える段階にいた。一方レバークーゼンは昨季序盤から不振が続き、ジェラルド・セオアネ監督は解任に。シモン・ロルフェスSDは数ある監督候補の中からアロンソに白羽の矢を立てた。まだプロの世界で結果も出していなかったが、ロルフェスはアロンソの持つ指導者としての資質に確信を持ち、「どんな選択にもリスクとチャンスがある。私は勇敢にチャンスをつかもうと思う」と悠然と言い放ったのだ。

【次ページ】 板倉滉が昨季語ったレバークーゼンの強さ

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