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51戦無敗で最強バイエルンの12連覇を阻止、日本代表選手も脱帽「レバークーゼン」なぜ強い? 「シャビ・アロンソから物語は始まった」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph bydpa/JIJI PRESS
posted2024/05/28 17:00
レバークーゼンはバイエルンのV11という長期王朝を打ち破り、無敗でブンデスリーガ優勝。そしてドイツ杯(DFBポカール)も制覇し国内2冠を達成
「サッカーの試合でAからB、BからC、そしてCからDみたいな決まりきったやり方ばかりでプレーしたら、うまくいくはずがない。レバークーゼンはボールを持った時に勇敢で、時にずる賢く仕掛けようとしていた」
キーマンをスカウトした男の証言
そんなレバークーゼンで異色の存在となっているのがドイツ代表MFフロリアン・ビルツだ。ロルフェスSDは「本当に特別な選手。プレーへの喜びがあるし、どんな試合やゲームでも勝ちたいという意欲がある」と称賛し、チームメイトのグラニト・ジャカ(スイス代表)も「ボールを持ったら危険なプレーができて、ボールを持たなくても危険な存在だ。運動量が豊富で、オフザボールでもクレバーな動きを見せる。間違いなくトップ中のトップに入る選手」と賛辞を惜しまない。
アロンソはビルツに全幅の信頼を寄せ、ビルツもそんなアロンソの声に耳を傾け、戦術的にも成熟度を高めている。天才と称される選手にありがちな、自分のプレーばかりだけではない。チームプレーにも本気で取り組む。いつでも謙虚で、地に足がついている。そういえばビルツをケルンU8へとスカウトした当時の育成部長クラウス・パプストがこんな話をしてくれたことがある。
「両親が素晴らしいんだ。人としての成長を何より大事にしている。人間性は言うことがない。あと父親が実はレスリングの選手で、フローは小学生のころにレスリングもやっていたんだ。彼がU13のころ一度戦ってみたことがあったんだけど、完敗だった。体幹レベルがほんとうにすごい」
今季唯一の敗北
周囲から絶賛されているレバークーゼンとビルツだが、《まだ》すべてが最高レベルなわけではない。バイエルンやリバプールからもオファーがあったとされるアロンソ監督が「私のレバークーゼンでの仕事はまだ終わっていない」とクラブ残留を表明したが、それはチームに対してもそうだし、アロンソ自身にとってもそうだろう。