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勝てない中日ファンの“本音”…地元アナウンサーらの証言「立浪和義が出演すると視聴率上がる」なぜ愛される?「二軍戦が異例の完売」
text by
長尾隆広Takahiro Nagao
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/05/22 06:00
立浪和義監督率いる中日ドラゴンズ。チーム状況は苦しくとも、なぜ愛されるのか?
取材やイベントで出会ったドラゴンズファンに聞いてみると、「強くても、弱くてもドラゴンズを応援する」という声が一番多かった。私も幼少期から愛知で育ったが、プロスポーツと言えばドラゴンズか名古屋グランパスのほぼ二択だった。父親も当然の如く竜党で、物心つく頃にはナゴヤ球場に通い、中堅スコアボードの直下にある「矢場とん」の串カツを頬張りながら大豊やパウエルを応援した。スポーツの選択肢が増えた今も、根強いプロ野球人気、そして名古屋を中心として東海地区では、ドラゴンズは圧倒的な人気を誇る。先日も市内の地下鉄に乗っていると、たまたま目の前に遠足帰りのような小学生の集団に出くわした。目の前には鮮やかな青色の「ISHIKAWA 25」のTシャツを着た少年と、「TAKAHASHI 19」を着た少年が、白熱しながら前日のドラゴンズの勝利を分析していた。
名古屋に本社を置く、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社は、名古屋市内の公立小学校及び特別支援学校に入学した新1年生に、確認できる範囲で2019年から2023年まで無償でドラゴンズのキャップを配布していた(※1)。私の子供も以前「この帽子、パパのお仕事のチームだ」と持ち帰ってきた。街中を歩けば、その帽子を被った少年を結構な確率で目にする。世界的スターのドジャース・大谷翔平が野球界を席巻し、阪神タイガースがセ・リーグを圧倒して優勝しても、「名古屋(愛知、東海圏)=ドラゴンズ」は不変なのである。
近年、急速に広まった選手個人への「推し活」文化も、野球人気の再燃につながっている。球場では若い女性がスポーツカメラマン顔負けの大型レンズを持って選手を追いかけ、コンコースでは試合前から選手プロデュースメニューを目掛け行列ができている。
ファンの人気歌手「本音は勝ってほしい。でも…」
在名テレビ局の野球中継テーマ曲になった「蒼の鼓動」を歌う、名古屋出身の歌手・May’nも、急激なドラゴンズ沼に引き込まれたうちの一人だ。