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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
SNSで批判されても「オレらはファミリーだぞ!」…なぜ日本代表の伝統「選手ミーティング」はスマホ世代の心にも刺さるか〈五輪予選ウラ話〉
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byYosuke Osada/AFLO
posted2024/05/19 17:02
U-23アジアカップを手にする山本理仁と藤田譲瑠チマ。「選手ミーティング」が今回も効力を発揮したようだ
漠たる不安が生まれていたチームにあって、大一番を前に選手同士が意見をぶつけ合った効果は絶大だった。
その後、日本代表がバーレーン、北朝鮮に連勝してワールドカップ出場を決めたことは言うまでもないが、「あれをきっかけにチームが一丸になった」とは、多くの選手が口にしていた言葉だ。
準決勝を前に“2回目”が開かれたほど
以後、選手ミーティングは、チームを窮地から救う伝家の宝刀のごとく、日本代表史に何度となく登場してくることになる。今回のU-23アジアカップも、例外ではなかったというわけだ。
チームメイトの率直な声を聞き、あらためて勝利への思いを強くした選手もいただろうし、ひとりで抱えていた思いを吐き出すことで、気持ちが軽くなった選手もいただろう。
その効果がいかに大きかったかは、準決勝を前に2回目が開かれたことからもうかがえる。
「今回(2回目の開催を)提案したのは(内野)貴史ですけど、ウズベキスタンでやった(2年前のU-23アジアカップの)ときに自分たちはこのステージ(準決勝)で負けていたので、そういう雰囲気にならないようにもう一回(チームの雰囲気を)締めたいっていう提案をもらって開催しました」(藤田)
「普段しゃべらない(高井)幸大やセキ(関根大輝)もしゃべったし、そういった選手が思っていることを聞けたのはチームとしてよかった」(山本)
とはいえ、アブダビの夜からおよそ20年が経過した現在、選手の気質も当時とはまるで異なっているはずである。
実際、選手の側にはそれほどの重大なことをしたという意識はなく、事細かにミーティングの様子――誰がどんな話をし、どんな反応があったのかなど――を聞き出そうとする報道陣に戸惑っているようにも見えた。
前のめりの質問をいなすように、「しゃべった人が次の人を指していくみたいな感じで、そんな重い雰囲気ではなく、軽い感じでやりました」とは、藤田の弁だ。
選手自身もスマホを持ち、批判をされるからこそ
しかし、それにもかかわらず、選手ミーティングが “刺さるイベント”であり続けていることは興味深い。
誰もが手軽にスマホを持つ時代にあって、自らSNSで発信することは、プロアスリートにとっても当たり前の日常である。