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サッカー五輪代表OA枠「三笘薫、中村敬斗と…前線の衝撃だ」トルシエが推す“意外な3人”「15歳時に初めて見た」藤田譲瑠チマとの縁も明かす
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/07 11:13
トルシエがパリ五輪メンバーとして推す三笘薫と久保建英は東京五輪でもプレーした
「ボールをどう動かすかの問題だった。後半の日本は前半よりも少し縦に深くボールを送り込んだ。選手の動きもより激しくなった。前半はボールをキープしようとする意識が強く、相手の守備を避ける意識が希薄だった。しかし後半は、ウズベキスタンの守備を回避して、回避するという意味はわかるか?」
――わかります。
「ボールを保持することと相手を回避することに矛盾はない。後半は深みのあるボールが増えて戦い方が少し変わった。そして荒木と平河の投入が流れを変えた。前半の中盤を構成したのは松木玖生と山本理仁、藤田譲瑠チマの3人だったが、松木に代えて荒木遼太郎を入れて、前線の動きが多彩になった。しかし日本に関して言えるのは、グループ全体がとても素晴らしいことだ」
――とはいえ、あなたは大会MVPに選ばれた藤田を高く評価していますが。
「ひとつのエピソードがある。初めて藤田を見たのは2017年のゴシアカップ中国(註:当時15歳の藤田は東京ヴェルディユースの一員として大会に参加し、見事優勝を飾った)だった。そのとき彼と話したのを覚えている。『これから素晴らしいキャリアを築くだろう』と彼に言った。『中国の自分のチーム(註:当時トルシエは中国スーパーリーグ重慶当代力帆足球倶楽部のスポーツディレクターとしてユース年代の育成を統括していた)に連れて行きたい』とも。彼と話す機会があったら、トルシエがよろしく言っていたと伝えてくれ」
――わかりました。
「本当に優れた選手であり、遠藤航のイメージと少し重なる」
木村や高井、関根…細谷も好きなタイプだ
――遠藤のようなキャリアをヨーロッパで築くことができるでしょうか。
「そう願っている。すでにベルギーにいるのだろう?」
――シント・トロイデンでプレーしています。
「藤田以外にも素晴らしい選手はたくさんいた。木村誠二や高井幸大、関根……、細谷も私の好きなタイプだ。それから荒木やGKの小久保玲央ブライアンも。この世代は本当に実り豊かであるといえる」
――しかしウズベキスタンには苦戦しました。
「たしかに難しい試合ではあったが、日本は勝利に値した。拮抗した試合で、ウズベキスタンは日本より少し成熟し、熟達もしていた。プレーの選択において、個の力が少し優っていた」
本大会は明らかに違うチームになる
――五輪出場権を獲得した準決勝の後、ウズベキスタンは3人の主力がチームを離脱して所属するクラブに帰っています。DFのクサノフ(RCランス)とMFのエルキノフ(アルワフダ)、ファイズラエフ(CSKAモスクワ)で、決勝は主力3人を欠いた戦いになりました。