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「ぼくはしあわせだな」白毛馬で史上初GI制覇、ソダシに関わった騎手&厩務員&調教師の証言「男泣きした」「背中をとおして教えてもらいました」
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph byKeiji Ishikawa
posted2024/03/08 06:01
ヴィクトリアマイル優勝後、ソダシのもとに集まる須貝尚介調教師、吉田隼人騎手、今浪隆利厩務員
そう言う吉田は、ソダシとは「運命的な出会い」だったと感じている。
「関西に来てなかったら、ソダシに出会えなかった。ソダシが呼び寄せてくれたのかなとも思う。神様だけが知っていた、運命的な出会いだったのかなと。でも、なんでぼくなんだろうな、とは思うけど(笑)」
びっくりするほどきれい好きな馬
毎日プレッシャーを感じながら仕事をしているという今浪隆利だが、日常のソダシについては大きな問題も心配もなく「ぼくは助かっています」と言った。
「白毛だからかどうかはわからないけど、虫に刺されて赤く腫らしているのをよく見ます。でも、皮膚が弱いわけではないし、これだけ走っているので、脚元がむくんだりするかなと思っていたけど、それもない」
健康なだけでない。ソダシは「びっくりするほどきれい好きな馬」だという。
「ボロ(糞)は馬房のうしろにして、踏まないで歩いている。おしっこも一箇所にしかしない。馬房のなかはいつもきれいで、助かってます」
ほとんどの馬は糞がついても平気で、あちこちに放尿するそうだが、ソダシは自分がどういう馬なのか自覚しているのだろう。
ぼくはしあわせだな
今浪は現在63歳。厩務員の定年まであと2年だ。騎手を夢みた少年は挫折して厩務員となり、競馬人生の最後に白毛のアイドルホースに出会った。
「この世界、GI勝ちは一度あればいいか、ほとんどないのが普通。ぼくはしあわせだなと思う。あと2年、一番の目標はソダシを無事に引退させてあげることです」
そう言った今浪は、まずは秋華賞、無事に競馬までもっていって、無事に帰ってきてくれれば、とくり返した。
<前編とあわせてお読みください>
ソダシ(Sodashi)
2018年3月8日、北海道のノーザンファームで誕生。父・クロフネ、母・ブチコ。新馬戦から無敗で阪神JFと桜花賞を制覇。ダートGIのフェブラリーSでは3着に。2022年ヴィクトリアマイルを優勝し、GI3勝。昨年10月に現役引退を発表、現在はノーザンファームで繁殖牝馬に。通算16戦7勝