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史上初めて“JRAの場内実況”を担当した女性アナウンサー「ファンのあたたかさに救われた」藤原菜々花26歳が語る“デビュー戦”の舞台裏
posted2024/03/24 17:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Hirofumi Kamaya
その日、1つの歴史がつくられた。
「中山競馬場3レースは3歳の未勝利戦です」
「春を思わせるやわらかな明るい陽射しがコースを照らしています」
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「上空は青空、ゆるやかに風が吹くあたたかい中山競馬場。スタンドから見て右手のゲートインです」
3月3日、場内に女性の声で実況が流れる。それはJRA(日本中央競馬会)史上初めて女性による場内実況が行われた瞬間だった。
場内実況実現への経緯、競馬実況の専門性、そもそもなぜ女性が行うことはなかったのか、「史上初」を成し遂げたラジオNIKKEIアナウンサーの藤原菜々花を訪ねた。
◆◆◆
ラジオNIKKEIのアナウンサー藤原菜々花は2020年の春に入社し、まもなく満4年となる。「ななかもしか発見伝」のパーソナリティを務めるほか、羽生結弦がプログラムで使用した曲によって構成した『こだわりセットリスト特別編・羽生結弦選手特集』を企画。大きな反響を呼び、昨年10月からレギュラー化され、月1回放送されている。
その他の業務にも携わる中、中心をなしているのが同局の主軸の1つである競馬だった。藤原は実況デビューを目指し、入社以来段階を踏んで取り組んできた。
「自信ある?」デビュー2日前、上司からの呼び出し
場内実況を担当することを告げられたのは直前のことだった。
「3月1日の金曜日、いつも通り出社して日々の業務を担当していました。夕方6時頃に上司2人に呼ばれ、これはいよいよ場内デビューが近づいているという話だろうな、というのはだいたい想像がついてちょっと覚悟して行きました。そこで『3月3日に場内デビューでどう?』とお話がありました」
上司から「自信ある?」とも尋ねられた。
「正直、完全に自信があるわけじゃなかったんですけど、せっかくこんなチャンスをいただいたし、あきらめたくないなと思って『自信あります』と答えてデビューする運びになりました」
藤原は今年1月8日、中継の実況デビューを果たしているが、場内実況はそれとは異なる難しさがあるという。
「場内実況は競馬場内に自分の声が響き渡るというところで大きな違いを感じます。また、ラジオ中継はラジオNIKKEIというチャンネルを選んで聴いている方が多いのに対して、場内実況はそうではありません。競馬場に来た方々のストレスにならない実況をしていく必要があります」