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ソダシの気性は「ゴールドシップより荒いかも」…じつは気難しい“純白のアイドル”と吉田隼人がヴィクトリアマイルで狙う逆襲
posted2022/05/14 17:02
text by
太田尚樹(日刊スポーツ)Naoki Ota
photograph by
Takuya Sugiyama
人も馬も、見かけによらない。
春の日光に純白の毛を輝かせるソダシは、競馬界のアイドルとして視線と人気を集める。しかし、その鞍上は「白馬の王子様」では務まらないだろう。愛らしいルックスに反し、気難しいからだ。初戦から手綱を握る吉田隼人は、出会いから2年近くが経つ今も「難しいですね」と首をひねる。
厩務員として寄り添う今浪隆利でさえ、その性格に手を焼くことがある。「気性は荒いよ。おとなしい時はおとなしいけど、嫌がると、とことんダメ。俺に向かってくるぐらいやから。それがいい方に出てるのもあるけど」と肩をすくめる。背中をはじめ、白い体に触れられるのを嫌うという。
今浪厩務員「ゴールドシップより荒いかも」
キャリア40年以上の63歳は「ゴールドシップより荒いかも」とこぼした。引き合いに出したのは、かつて手がけたGI6勝馬。厩舎で「ホワイトライオン」と恐れられた芦毛の暴れん坊とは違い、噛みついたり立ち上がったりはしない。それでも白毛に覆われた乙女心は、一筋縄では縛れない。
そんな性質は白毛ファミリーの特色でもある。ぶち模様で親しまれた母ブチコはゲート内で我慢が利かず、ついには危険やストレスを考慮して引退を早められた。'20年春に初めてソダシにまたがった吉田は、伯母のユキチャンやマーブルケーキを勝利へ導いており、一族の傾向も体感していた。
「わがままな部分は多いですけど、怒られて言うことを聞く感じでもないので。変にプレッシャーを与えないっていうのが大事なことなんじゃないですかね。第一印象は『しっかりしてる馬だな』と感じました。安定感があって、キャンターでもぶれない。『この馬、すげえな』って思いました」