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「ぼくはしあわせだな」白毛馬で史上初GI制覇、ソダシに関わった騎手&厩務員&調教師の証言「男泣きした」「背中をとおして教えてもらいました」

posted2024/03/08 06:01

 
「ぼくはしあわせだな」白毛馬で史上初GI制覇、ソダシに関わった騎手&厩務員&調教師の証言「男泣きした」「背中をとおして教えてもらいました」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

ヴィクトリアマイル優勝後、ソダシのもとに集まる須貝尚介調教師、吉田隼人騎手、今浪隆利厩務員

text by

江面弘也

江面弘也Koya Ezura

PROFILE

photograph by

Keiji Ishikawa

 本日3月8日が誕生日のソダシ。白毛馬初のGI勝利、GI3勝を成し遂げた伝説的な牝馬は昨年10月に引退を発表し、繁殖入りしました。その軌跡を須貝尚介調教師、今浪隆利厩務員、吉田隼人騎手が振り返った3歳秋当時(秋華賞前)の記事を特別に無料公開します。(全2回の第2回、初出:2021年10月7日発売Number1037号所収 ソダシ「白馬が紡ぐ運命の糸」 ※肩書き、役職はすべて当時のもの)

白毛馬の遺伝

 デビュー戦に向けて、ソダシの課題はゲートだった。母親のブチコはゲートをくぐり抜けて飛びだしたり、問題の多い馬だった。それが「頭をよぎった」という須貝はゲート練習は徹底してやったと言う。

「病気とおなじで、母の悪いくせが遺伝して、それを発症させてしまってはだめ。その手前でしっかり抑えておかないといけない。そこは調教師の責務です」

 近親の白毛馬に乗ることも多かった吉田も「ゲートが心配でした」と言った。

「ユキチャンやシロクンもゲート内で頭を下げるそぶりがあったので、ブチコがそうだったのは、わかる気がしました」

反射神経は抜群にいい

 ゲート練習では吉田が乗り、時間をかけてやった。今浪は振り返って言う。

「ゆっくり、のんびりと、隼人と一緒に考えながら練習してました。きょうはこのぐらいでやめておこうとか、馬が落ち着いてるから、もうすこしゲートに入れておこうかとか、話し合いながら練習していた」

 その甲斐があって、ここまでソダシはゲートでは問題なくきている。それどころか、スタートダッシュは「こんなに速くでるとは思わなかった」と今浪が驚いたぐらいすばらしい。それを、吉田は「反応の良さ」だと言った。ソダシは物音に敏感なところがあるが、反射神経は抜群にいい。

 デビュー戦は2番手からあっさりと抜けだして勝ったソダシは、それからは負けることなく勝ち進んでいく。スピードがあった。きれいな姿とは不釣り合いな力強さもある。そしてなによりも、競り合いに負けない勝負根性があった。桜花賞もサトノレイナスの追撃を首差しのいでみせた。その桜花賞、須貝は「感極まって、男泣きした」と言った。無敗の馬を管理する調教師としてのプレッシャーもあったのだろう。

【次ページ】 調教師になって初めて泣いた、ゴールドシップの皐月賞

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