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「落合監督がニヤリと笑うの、サインを出したときや」岡田監督“おーん”に隠された神采配ウラ側「原監督のグーより強いの、そらパーよ」
text by
岡田彰布Akinobu Okada
photograph byKyodo News
posted2024/03/14 11:01
阪神・岡田彰布監督と中日・落合博満監督。2000年代のセ・リーグで熾烈な采配合戦を繰り広げた
おれはノックバットを持って、甲子園の外野芝生をトントンたたきながら歩く。ネットの後ろだけやなしに、いろんなところから練習を見ると違ったことに気が付く。
外野を歩くのにも理由がある。ゴルフ場と同じでディボット(芝が削られた跡)や排水溝があるからなあ。芝目や硬さ、風向きによっても打球は変化する。毎試合、コンディションをチェックしとかんと。
監督は選手の調子、相手チームの様子だけでなく、すべての状況を把握しておかなあかんのや。23年のオフ、安芸の秋季キャンプに行ったときは、最初の日にすぐ言うた。
「芝が何ミリか長いぞ」。
阪神園芸がすぐに、甲子園と同じ長さにしてくれたわ。
野球のルール、年間日程、天気予報などすべてがおれの頭の中にある。「岡田監督は予言者」と選手が言うたらしいけど、全部根拠があるんよ。
“原監督のグー”より強いのがパーやんか
じゃんけんにも根拠と理論がある。おれはじゃんけんでも負けない。力が入る場面なら手を握るグー。気楽にさっと出すとパー。いきなりチョキはまず出さない。それを読んで自分が何を出せばいいのかを考える。だから大人数のじゃんけん大会の最初は、壇上でチョキを出すとだいたい半数に絞られる。2回戦以降も状況次第でほぼ判断できる。
選手には原・巨人前監督の得意とする「グータッチ」は禁止した。「グーより強いのがパーやんか」と試合中は「パータッチ」に統一した。
カラオケで歌うのは「白いブランコ」(ビリー・バンバン)と「街の灯り」(堺正章)。割と高音もカラオケのときはいけるんよな。選手のときは何枚かレコードも出してるで。今の選手は誰も知らんやろけど。
フォーク世代? そんなんは特にない。学生時代は野球ばかりやってたからなあ。歌うのは高い点数の出る曲を選んでるだけよ。何をするにも理論的な裏付けがあるということや。
<采配の核心を包み隠さなかった岡田監督は、つづきの第3回で知られざる青春時代や野村克也監督との関係性についても明かしてくれている>