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岡田彰布「俺が怒ったんよ」“屈辱の歴史的V逸”を阪神・オリックス監督でどう生かしたか「余計な感情はいらない」「評価はしない。それだけよ」

posted2024/03/14 11:01

 
岡田彰布「俺が怒ったんよ」“屈辱の歴史的V逸”を阪神・オリックス監督でどう生かしたか「余計な感情はいらない」「評価はしない。それだけよ」<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono/Nanae Suzuki

阪神タイガースを日本一に導いた岡田彰布監督。本稿ではオリックス・バファローズ時代の知られざるエピソードも明かしてくれている

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岡田彰布

岡田彰布Akinobu Okada

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Tamon Matsuzono/Nanae Suzuki

 2023年、阪神タイガースに38年ぶりの日本一をもたらした岡田彰布監督(66歳)。阪神、オリックス時代に育まれた野球観と豊富な人生経験は、どう指導者として生かされているのか。書籍『普通にやるだけやんか』(Gakken)より、阪神・オリックス監督時代の秘話を一部転載でご紹介します。(全3回の第1回/第2回第3回へ)
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 雪は白い。白い雪のように、チームに白星が降り続いた。誰にも止められない。しんしんと降り続く雪は、誰の力も借りずに積もる。あっという間に白星が積み重なるのと似ている。いつの間にか重なったチームの白星が、最後には独走態勢を生み出していた。「簡単に優勝した」とおれが感じたのは、まさに降り積もった雪のように、白星が重なったからだ。 

アレの元祖は吉田監督

 今回の優勝への道は、すべてがそんな調子やった。流行語大賞にまでなった「アレ」も、別におれが受けを狙ってひねり出した言葉でもない。もともと「優勝」と口にせんかったのは、おれの経験では85年の阪神・吉田義男監督やったと思う。

「優勝」と言わずに「アレ」と言うのは、おれがオリックスの監督時代に、交流戦で優勝を意識した選手が硬くならないように使い始めた、というもっともらしい説がある。

 前回の阪神監督のときに、交流戦であるコーチが勝手に選手を集めて「ここまで来たら優勝を狙おう」とか言い出した。それでおれが怒ったんよ。

「コーチが勝手に優勝とか口にするな。優勝いうんはそんな簡単なもんと違うやろ」

 と。それを知っている記者がいたんやろな。

 オリックスのときは担当記者がびびって「優勝」とはよう言わんかった。「ここまで来たら……」とだけ聞いてきた。だからおれがいつもの調子で「そら、アレよ」と答えた、そんな感じやで。

「優勝」と言わない元祖は吉田監督よ。吉田監督は「優勝」とは言わずに、とにかく「チーム一丸」「土台作り」「一蓮托生」「挑戦者」と簡単で、単純なフレーズを繰り返しとった。

 優勝マジックが出てからは、誰とは言わんけどあるベテラン選手に「おっさんええ加減にせんかい。もうはっきりと優勝やと言うたらええやろ」と言われとった。

 そういうところは吉田監督も頑固やからなあ。優勝スピーチでも、うちは挑戦者です、言うてたわ。

アレのきっかけは「歴史的V逸の屈辱」

 あえて自分の中でなぜ優勝がアレになったのかを問うのなら、オリックスのときではなく阪神監督最後の2008年やろうなあ。

【次ページ】 アレのきっかけは「歴史的V逸の屈辱」

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