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遠藤航の代役不在、“世界基準”ゆえの縛り…中村憲剛が切り込む“森保ジャパンの敗因”「アジアの戦いは難しい、で終わらせてはいけない」 

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2024/02/07 11:03

遠藤航の代役不在、“世界基準”ゆえの縛り…中村憲剛が切り込む“森保ジャパンの敗因”「アジアの戦いは難しい、で終わらせてはいけない」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

アジアカップで全5試合にフル出場したキャプテンの遠藤航。中村憲剛氏は疲労の蓄積やコンディションのバラつきを論点のひとつにあげた

 横幅68メートルをDF4枚でカバーする4バックをベースにした4-2-3-1や4-3-3で、ボールを保持しながら相手を見定め、隙を突いてゴールを奪っていく戦い方を進めていきました。そのなかで、3バック(5バック)で戦う時間もありました。

アジアではなく「世界」を意識していた?

 2023年の8連勝で、戦い方の「幅」は見せてくれていました。ただ、対アジアの公式戦での「幅」がどれだけあったかと言うと、そこにはアジアにおける日本の立場ゆえの難しさがあったのではと思いました。

 対戦相手がなりふり構わずパワープレーをしてきたときに、バーレーン戦の後半のようにいさぎよく5バックで対応してもよかったのかもしれません。イランの力ずくのロングボール対策として、CBを増やして跳ね返してもよかったかもしれません。それも、戦い方の「幅」と言えます。ただ、カタールW杯で用いた5-4-1を、すでに備わっている「幅」としてアジア相手に活用するのは、言葉で言うほど簡単ではなかったとも想像できます。

 というのも、W杯で勝つために戦い方の「幅」を拡げようということで、4-2-3-1や4-3-3でやってきたのです。それでドイツを再び撃破したのですから、アジア相手でも4バックで押し切りたい、と考えても不思議ではありません。アジアカップで勝つために5バックをベースにした戦い方へ変更したら、「そんなことでは26年のW杯で8強以上には入れない」といった考えにチームが包まれたり、チーム作りが後退するようなイメージにつながったりする恐れがあります。

 タイトルをかけた争いなのだから、勝負に徹するという考えは成り立ちます。アジア各国の日本包囲網のレベルが上がっているので、色々な形で対応しなければ勝てないというのはすごく感じました。

 その一方で、W杯で過去最高の結果を残すという目標へのプロセスとして、世界を意識した戦いで優勝を目指すという考えもあります。森保監督と選手たちが「そうじゃないとW杯で勝つなんておぼつかない」との共通認識を持っていたとしても、僕自身は否定できません。むしろ、すごく納得できます。

【次ページ】 「アジアの戦いは難しい」で終わらせてはいけない

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