サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
板倉滉は円陣に入らずロッカーへ、守田英正の横でイラン選手が楽器を鳴らし…まさかの敗戦直後、“TV中継には映らなかった”選手の姿
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2024/02/05 17:10
イランに敗れた日本代表。試合後の選手たちの表情を現地からレポートする
辛辣な言葉を自分に向けた板倉滉
日本選手とイラン選手の取材対応が一通り終わってから約1時間。がらんとしたミックスゾーンに姿を現したのは伊藤洋輝と板倉滉だった。2人はドーピング検査を受けており、出てくるのが遅くなっていた。ミックスゾーンにはもう日本人メディアしかいなかった。
左サイドバックとしてイラク戦以来3試合ぶりに先発した伊藤は、「ボールをつなげなくなって押し込まれた」と後半を振り返り、「苦しい展開で流れを変えられなかったし、耐え切れなかった。追いつかれたあとも押し込まれたし、延長につなげられる安定感というか、守備の力強さが必要だったと思う」と消え入るような声で言った。
板倉は口調こそサバサバしていたが、言葉は辛辣で、そのすべてが自分に向けられていた。
「今日の敗因は自分にあると思う。センターバックの自分がもっと良いパフォーマンスをしていれば日本代表は勝てたと思う。非常に申し訳なく思っている」
反省の弁が示すように、イラン戦の板倉は確かに精彩を欠いていた。後半10分にはアズムンのパスに反応が遅れて後手に回り、モハマド・モヘビに同点ゴールを許した。1-1だった後半アディショナルタイム4分にはクロス対応で冨安健洋と交錯。こぼれ球の処理で相手を倒し、決勝点につながるPKを与えていた。
「ギリギリで(冨安の)声が聞こえたけど、後ろの状況を把握できていなかった中でボールに行くという選択をした。こぼれたボールしか見えていなかった」
板倉はチームの円陣に加わることなく…
試合終了の笛が鳴ると即座にロッカーへ引き上げ、チームの円陣に加わることなく大会を終えた板倉は「こんなに自分自身でゲームを壊すということは今までなかった。このままだと代表のピッチに立つ資格はない」と断じた。言い訳を許すまいという覚悟を持って、自分を奮い立たせる言葉に聞こえた。
板倉が立ち去ると同時に記者陣はすぐにミックスゾーンから出され、スタジアムからもそのまま出された。時刻は午後7時過ぎ。試合終了から2時間半近くも経過していた。会場のエデュケーションスタジアムは日本対イラン戦が今大会最後の試合。後片付けが粛々と始まった。