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核心にシュートを!BACK NUMBER
サッカー日本代表PK戦の論点は、挙手制でも指名制でもなく…“8つの核心データ”「3秒以内に蹴ると外しやすい」「先行有利は迷信」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2024/01/31 17:54
カタールW杯クロアチア戦でのPK戦。この教訓をアジアカップなど今後の戦いに生かせるか
<データ7&8>
(7)「真ん中に蹴る勇気があれば、成功率は高い」というのは現実にかなり即している
(8)ゴールを横方向に3分割したときに、「最上段に蹴りこめば止められる可能性は低い」も鉄則に近い
以下の画像(※外部配信のサイトでは「関連記事」からご覧になれます)はカタールW杯のPK戦での41本PKの蹴られた方向について『Number』誌に掲載されたデータだ。
グラフィックがすべてを語ってくれているが、あえて文字にすると以下のとおり。
・真ん中のエリアに蹴りこんだ時の成功率:100%(8本すべて成功)
・上段のエリアに蹴りこんだ時の成功率:100%(6本すべて成功)
森保監督に今大会のPK戦の意向について聞くと…
8つのデータを踏まえたうえで、いよいよ森保監督の胸の内に迫ろう。
「PK戦にもつれた場合、さんまさんとの番組で明かした意向(*『指名制』を採用すること)に変更はありますか?」とバーレーン戦前日の記者会見で尋ねてみた。監督の回答は多岐にわたったので、以下に抜粋しながら紹介する。
「選手に責任を負わせてはいけないという部分で、(カタールW杯で)『挙手制』にした反省はあります。選手の勇気をたたえるということを、もう一度ここで話をさせていただきたいと思います。カタールW杯で選手たちが手を挙げてPKを蹴ってくれたことは、その勇気が成長につながると、今でも思っています」
実は、カタールW杯で「挙手制」にすると監督が選手たちの前で宣言したあと、キッカーに名乗り出る選手がすぐに出ず、5秒ほどの沈黙が広がった。それが明らかになると、「勇気や覚悟が足りない」と選手たちへの批判的な声があった。
ただ実情としては、方針自体を知らなかった選手や、スタジアムの大歓声のなかで監督が挙手をうながしたことをよく確認できていない選手もいたそうだ。
常に選手を守る森保監督らしいコメントで、どのような形式でキッカーを決めたのかについて事前にチーム内で十分に共有できていなかったことを反省しているという。
違った選択、これまでしていた選択もあり得ると
そして、森保監督はこう続けた。
「あの結果で、選手に責任を負わせてしまったので、私が決めるということは、『選択肢として』(*筆者注:二重カギの部分を強調していた)持っておきたいなと思っています。選択肢として、優先順位を『高く』持っておきたいなと。ただ、試合のなかでは空気感がありますので、そこで違った選択を……これまでしていた選択もあり得ると思います」
いよいよ始まるアジアカップのノックアウトステージ。果たして、PK戦までもつれることはあるのか。
PK戦に突入した時、問われるのは覚悟と――準備である。
<第1回「W杯ドイツ戦交代策の真相」編から続く>