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サッカー日本代表PK戦の論点は、挙手制でも指名制でもなく…“8つの核心データ”「3秒以内に蹴ると外しやすい」「先行有利は迷信」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2024/01/31 17:54

サッカー日本代表PK戦の論点は、挙手制でも指名制でもなく…“8つの核心データ”「3秒以内に蹴ると外しやすい」「先行有利は迷信」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

カタールW杯クロアチア戦でのPK戦。この教訓をアジアカップなど今後の戦いに生かせるか

〈試合終了間際のときには、コーチと相談して、順番を決めていたところはあるんですけど……。結果、私が決断したのは『挙手制』で、『自分が蹴る』という自信のある選手に蹴ってもらおうということでやりました。順番を決めてやるというのももちろん(ありえる)ですけど、私の過去の経験で『挙手制』でやってきた中で勝っている確率が高かったんですよ。

 あと、PKは勝つか、負けるか、わからないじゃないですか? 究極のプレッシャーの中で、そこで勇気を持って『俺が蹴る』と言ってくれたことが、まず、今後の成長につながるなと思って。(中略)次にどうするか、最終的にはわからないですけど、順番であったり、相手のことを分析する、『どこに蹴る』かということは、もっと、もっと、詰めていかないといけないなと。今度は多分決めると思いますけど、順番を〉

 なお「勇気を持って『俺が蹴る』と言ってくれたことが、まず、今後の成長につながる」という部分は、〈前編〉で紹介した「日本代表の勝利を願う気持ち」と「日本サッカーの発展を願う気持ち」の両輪を回しながら決断しているという話につながる。

 あらゆる想定をして試合に臨むのが森保監督の信条だ。そこで、バーレーン戦を翌日に控えた公式記者会見の席で、監督の意向を再確認することにした。

PK戦についての「8つのデータ」を見ていくと

 そのやり取りを紹介する前に、PK戦について興味深い「8つのデータ」を見ていこう。なお、以下のデータの大半がW杯におけるものだ。 

 クロアチア戦以降、日本サッカー協会の反町康治技術委員長は、様々な場所でPKに関するデータを紹介している。今回は『日刊ゲンダイ』紙のインタビューで彼が明かした3つのデータを引用する。

<データ1~3>
(1)PK戦で主審の笛が鳴って3秒以内にボールを蹴る人は、5秒以上かける人よりも外しやすい
(2)DF(68%)やMF(69%)よりもFW(76%)の方が成功率は高い
(3)1982~2018年までのW杯の全PKを見ると、ゴールマウスの上3分の1の高さに蹴り込んだシュートは全て成功

 この秒数については、かなり信ぴょう性があるようだ。近年のサッカー界で話題となったPK戦として、2022年2月に行なわれたイングランドのリーグカップ決勝のリバプールとチェルシーの試合が挙げられる。両チーム合わせて最初の21人全員がPKに成功。22人目となるチェルシーのGKケパが、唯一、PKを外した選手となった。

 ケパは主審の笛が鳴ってから約2.5秒の間にPKを蹴り、ボールはクロスバーのはるか上に飛んでしまった。

時間をかけて成功した浅野に聞いてみた

 では、クロアチア戦でPKを蹴った日本の4人のキッカーのうち、唯一成功させた浅野拓磨はどうだったか。

【次ページ】 「先行有利は迷信」「真ん中か最上段に蹴り込む勇気」

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