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サッカー日本代表PK戦の論点は、挙手制でも指名制でもなく…“8つの核心データ”「3秒以内に蹴ると外しやすい」「先行有利は迷信」

posted2024/01/31 17:54

 
サッカー日本代表PK戦の論点は、挙手制でも指名制でもなく…“8つの核心データ”「3秒以内に蹴ると外しやすい」「先行有利は迷信」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

カタールW杯クロアチア戦でのPK戦。この教訓をアジアカップなど今後の戦いに生かせるか

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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Takuya Sugiyama/JMPA

 日本代表はいよいよアジアカップ決勝トーナメントの舞台に立つ。指揮を執る森保一監督はどのような哲学を持ち、チームを率いているか。W杯の交代策、PK戦という2つの視点から探る。(全2回/W杯ドイツ戦交代策の深層編も)

 挙手制か、指名制か。

 日本サッカーの歴史を点でしかとらえず、線として理解していない者たちによる、やや的外れな議論が巻き起こったのは記憶に新しい。

 カタールW杯の決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に敗れたあと、「PKキッカーを『挙手制(立候補制)』で決めたのが良くなかった」と森保一監督を批判する意見が出た。

 だが、これは結果論でしか物事を見ない人たちによる意見だ。

15年アジア杯は「指名制」のPK戦で負けている

 そもそも、2015年1月のアジアカップを思い出してほしい。UAEとのPK戦では当時の指揮官ハビエル・アギーレが『指名制』を採用し、日本は敗れているのだ。

 以下、当時の『Number』誌に寄稿した該当箇所を一部引用する。

 ◇ ◇ ◇

 ハビエル・アギーレ監督が、折りたたんだ左手の指を一本ずつあげながらPK戦のキッカーを指名していく。

「ホンダ! ハセベ! 3人目は……」

 そうつぶやき、監督はコーチに確認をとる。その間、香川真司はアギーレ監督の口元に目を向けている。

「シバサキ! トヨダ……」

 そこまで来て、監督は少し考えこんだ。

 ハセベの名前が呼ばれた後とは比べものにならないほどの、強い視線を香川はアギーレに注いでいく。

「モリシゲ!」

 カガワの名が呼ばれることはなかった。

「絶対にお前ら5人で決めて来い!」

 そんな監督の言葉で、5人のキッカーの気持ちは盛り上がったはずだ。

 しかし……。

 香川はどうにか、GKの川島永嗣の肩を叩き、鼓舞してみせた。もちろん、5人目までのキッカーに選ばれなかった悔しさはすぐには消えない。ユニフォームのすそをまくりあげ、顔を覆う。その様子に気づいた監督が、しばらく言葉をかける。

 そんな香川が6番手として放ったPKはゴールポストに弾かれ、続くUAEの選手の蹴ったボールがゴールネットを揺らした。前回王者としてアジアカップに臨んだ日本は準々決勝での敗退が決まった。

 ◇ ◇ ◇

 というわけで、「挙手制が良くない」という意見に説得力はない。日本代表はその前に「指名制」で負けているのだから。

森保監督が語っていた「挙手制」の背景

 ただ、森保監督には感じるところがあったようだ。W杯の約2カ月後、熊本県で行われた講演会のなかで、次にPK戦に突入することがあれば『指名制』を採用したいと示唆している。

 そして、年始に放送されたNHKの番組『スイッチインタビュー』で、明石家さんまに向かって、カタールW杯におけるPK戦時の判断と、今後の意向を明かしている。抜粋すると以下のように話している。

【次ページ】 PK戦についての「8つのデータ」を見ていくと

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