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核心にシュートを!BACK NUMBER
W杯ドイツ・スペイン戦で劣勢→“三笘の1ミリ”神采配の深層…「おっしゃる通りです!」森保監督がアジア杯で記者に明かした“2つの決め手”
posted2024/01/31 17:52
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
あれから約1年2カ月。カタールW杯での歴史的勝利の要因を、同じカタールの地で森保一監督がようやく明かした。
一体どうして、あの決断ができたのか――。
グループステージ最終戦の翌日となる1月25日。開幕後初めて、日本代表の練習が休みになった。この日は、チームの滞在するホテルで「茶話会」と称する会が開かれた。
大会中は監督への質問は、戦術、戦略、采配に関するものが大半になる。「記者会見などではあまり聞けないような質問に」答える機会を。そんな森保監督と広報チームの発案で茶話会が設けられ、監督の話をゆっくり聞けた。
そして〈あの決断〉の理由が、このとき明かされた。
“交代策が当たらない”から一転したW杯での逆転劇
森保監督は先制された試合に弱く、交代選手があまり活躍していない。そんなデータがカタールW杯前までは明確に存在した。実際、それについて筆者は大会前に批判的な記事も書いた。
概要を記すと、森保監督体制下のチームはW杯開幕前までの13試合で先制を許した。そのなかで交代選手が得点したのは1ゴールだけだった。さらに、先制された試合での連敗数が8、先制された試合での勝ち点獲得率は23%という成績で、それは2010年10月から日本代表を率いたザッケローニ監督以降で最も振るわない成績だった。
ところが、である。
森保監督はカタールW杯で、そんな傾向と批判的な意見を見事に覆す結果を残した。
日本が史上初めてW杯優勝経験国を破った、ドイツとの初戦。ハーフタイムの選手交代と同時にフォーメーションも変え、逆転勝利を飾った。ゴールを決めたのは、いずれも途中出場の選手――堂安律と浅野拓磨だった。
そして、スペイン戦では後半開始に合わせて交代で送り出した三笘薫が「三笘の1ミリ」と呼ばれるアシストを記録。同じタイミングで出場した堂安が同点ゴールと「三笘の1ミリ」へつながるパスを出した。これまた、逆転勝利だった。
森保監督は、過去のデータを完膚なきまで叩き潰すような采配を見せ、日本を勝利に導いたのだ。
田中碧が語った「森保さんに言われたこと」
なお、ドイツ戦での交代策については『LEGENDS STADIUM(*現在はサービス終了)』での中村憲剛と田中碧との対談で、田中が采配の効果を証言している。