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核心にシュートを!BACK NUMBER
サッカー日本代表PK戦の論点は、挙手制でも指名制でもなく…“8つの核心データ”「3秒以内に蹴ると外しやすい」「先行有利は迷信」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2024/01/31 17:54
カタールW杯クロアチア戦でのPK戦。この教訓をアジアカップなど今後の戦いに生かせるか
笛が鳴ってから、およそ3.7秒でPKを蹴り、ゴールの右側に決めた。
そこでバーレーン戦前日、「5秒以上たってからPKを蹴ると成功率が上がる」というデータについてどう感じるか浅野本人に聞いてみた。返ってきたのは、大舞台でPKを成功させた者らしい答えだった。
「そこは(自分には) 関係ないかなと思います。もちろんデータが出ているのは事実でしょうし、何かあるのかもしれないです。でも、物理的なことで結果が決まるようなスポーツでもないので。そこに関して、あまり気にすることは無いのかなと思います」
さらに「そういう考えで蹴る方が成功率も上がりそうでは?」と尋ねると、こう答えた。
「そうですね! まぁ……全員自信を持って蹴っていると思いますし、試合(の中のPK)でも同じですけど。自分なりに、とにかく、自信を持って蹴ることが大事かなと。どういう時に、そういう場面が来てもチームのために決める自信はあります」
「先行有利は迷信」「真ん中か最上段に蹴り込む勇気」
<データ4~5>
(4)試合中のPKの成功率は75%前後とされる。
(5)PK戦の成功率は、試合中のPKよりも成功率が下がる大会が多い。
ここでもカタールW杯のデータを見てみよう。
・試合中のPKの成功率73.9%(大会を通じて23本のPKが生まれ、17本が成功)
・PK戦での成功率は63.4%(全PK戦で延べ41本のPKが蹴られ、26本が成功)
基本的に試合中はPKに自信を持つ選手だけが蹴る。そのため、PK戦では成功率が下がってしまうのだろう。
<データ6>
(6)「PK戦では先攻が有利」というのは迷信にすぎない。
これもW杯での統計を紹介しよう。
PK戦が導入された1978年W杯から2022年W杯まで、PK戦は計35回行われ、先攻が17勝、後攻が18勝。戦績はほぼ互角で、後攻のほうが1勝多い。
ただ、最近は後攻が勝つことが多いという傾向が出ている。
・2018年W杯:全4回のPK戦で、全て後攻のチームが勝利。
・2022年W杯:全5回のPK戦で、先攻2勝、後攻3勝。
なお、2022年W杯のクロアチア戦で日本は「先攻」だった。