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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
日本代表“アジアカップで苦戦の理由”を中村憲剛がズバリ解説「心構えがW杯とは“真逆”になる」「アジア全体のレベルアップを強く感じます」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2024/01/30 11:01
グループステージを2勝1敗の2位で通過した日本代表。前回のアジアカップを経験している選手はキャプテンの遠藤航をはじめ5人にとどまる
「同じ敵地でもヨーロッパや南米とは空気が違う」
現地でリポーターをしている佐藤寿人さんによれば、イラク戦は圧力がものすごかったそうです。インドネシア戦も主審のジャッジへのフラストレーションなどから、スタジアムの雰囲気が徐々に変わっていったと聞きました。
ヨーロッパでプレーしている選手たちなら、アウェイの空気感に慣れていると思うかもしれません。僕も日本代表の一員としてヨーロッパや南米でアウェイゲームを経験し、中東や東南アジアでも公式戦を戦いましたが、同じ敵地でもスタジアムに漂う空気は明らかに違いました。おそらくそれは、立ち位置の違いが関係していると思います。
グループステージの試合を観ていると、アジア全体のレベルアップを強く感じます。そのなかで、対戦相手は“アジアの巨人”となった日本にひと泡吹かせてやろうという気持ちで挑んでくる。一戦必勝で闘志満々です。
スタジアム全体も、寿人さんが言ったように「日本を倒せ」という空気感に包まれる。相手がボールを持つだけで観客が沸き、日本がミスをすると歓声が上がる。選手たちが知らず知らずのうちに圧力を受け、プレーや判断の精度が落ちたとしても不思議ではありません。ピッチに立たなければ感じ取れないプレッシャーが、彼らを縛っていたのでしょう。
ピッチコンディションがちょっと難しい、と話す選手もいます。芝生が気になれば、いつもよりボールを長く見なければならない。長く見るぶん視野は狭くなり、ボールを動かすテンポとリズムに影響が出てきます。また、ヨーロッパ各国リーグとはボールも違うとのことで、そこへの慣れにも時間が必要です。細かいことですが、見落とせない違いです。
明確なシナリオを用意していたイラク
サッカーは相対的なものですから、相手の戦いぶりにも触れるべきでしょう。
グループステージの対戦相手は、日本を徹底的に研究してきた印象です。そのなかでもイラクは、明確なシナリオを用意していました。
日本の武器のひとつでもある前線からのプレスを回避するために、プレスを受けたら躊躇なく1トップの選手にロングボールを入れてきました。これを、2得点をあげたアイマン・フセインがことごとく収めていきました。