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「冨安健洋の声は少しも…」記者が感嘆した25歳DFリーダー“取材ウラ話”「叩きのめす、の表現にも責任感が」アーセナル仕込みのスゴみ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMasashi Hara
posted2024/01/27 17:00
最終ラインから声を響かせ、統率する冨安健洋。これぞ日本が誇るDFリーダーの佇まいである
・相手ボールからマイボールにした回数=11回
・完全なインターセプト=4回
両チームを通じてダントツである。
・空中戦デュエル勝利数=4回
・ルーズボール奪取数=10回
こちらも両チームでトップタイだった。
こうしたデータを見れば、久保建英――今やスペインのラ・リーガの顔の1人だ――が、最終ラインの冨安から送られる号令にしっかり応えた理由もわかる。
「何回も後ろから『(プレスをかけに)行け』って(冨安の)声を聞いたので、『行くしかないな』って思っていました」
優勝候補の重圧を受け止めながら
冨安が試合で示した数字と仲間の証言、さらに「相手を叩きのめす」など本人の強い発信力は、日本代表が持つべきマインドを示しているように感じる。
アジア杯で戦う相手は〈優勝候補の筆頭である日本を倒す〉という決死の覚悟と気迫をもって挑んでくる。だから「チャレンジャーとして戦おう!」と唱えるのも間違いではない。また、このチームが大きな目標として掲げている「W杯優勝」を強調するあまり、期待値を“上げすぎる”ことで自らを苦しめるリスクはある。
しかし、本気で「W杯優勝を目指す」なら、今回のアジア杯を通じて自分たちの力量をしっかり把握しないといけない。成長し続けるための努力は、適切な現状認識が土台となるからだ。だからこそ、相手をリスペクトしたうえで、優勝候補の筆頭としてのプレッシャーを受け止めながら戦うのは厳しくとも、正しいように見える。
試合後、守備陣の声は嗄れていることが…冨安は?
インドネシア戦で冨安が示したものとは何だったのか。そう考えながら、試合後の取材エリアに立っていた時のこと。過去の国際大会やビッグマッチ後の場面を思い返していくと……。
〈あ、この選手の声、嗄れているな〉
そう感じたことが何度もあった。
選手たちは大歓声のなかでプレーするため、試合中に指示を送ることの多いゴールキーパーやディフェンダーの声は嗄れることが多いのだ。もちろん、声が嗄れているというのは必死で声を出した証拠であり、一つの勲章でもある。
では、この試合の冨安はどうだったか?