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「冨安健洋の声は少しも…」記者が感嘆した25歳DFリーダー“取材ウラ話”「叩きのめす、の表現にも責任感が」アーセナル仕込みのスゴみ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMasashi Hara
posted2024/01/27 17:00
最終ラインから声を響かせ、統率する冨安健洋。これぞ日本が誇るDFリーダーの佇まいである
「最初の2試合が終わった後にチームの中で『シンプルに、やるべきことをやっていないよね。だから、結果も内容も伴ってないよね』と(いう意見が)ありました。相手がどうこうというより、『自分たちにフォーカスすべき』だなと。
だから今日の試合は『自分たちに何ができるのか』『何をしないといけないのか』というところにフォーカスして表現する必要がありました」
言葉には、責任が伴う。
思うような結果が出なければ、批判が飛んでくる。だから、批判を避けたければ強気の発言や振る舞いをしない方が賢明だ。しかし冨安にとってチームの外からの声は重要ではなく、自分が何をやるべきかにフォーカスしていた。
最終ラインでの仕事ぶりを示す“平均距離”とは
ディフェンスリーダーとして冨安が強く求めたのが、最終ラインから前線をコンパクトに保つことだった。
イラク戦とインドネシア戦それぞれの「最終ラインから最前線までの平均距離」を以下の3つにわけて比較してみよう。
・ハイブロック(*敵陣でのハイプレス時の守備組織)
・ミドルブロック(*日本が連勝した時期に機能したミドルサードでの守備ブロック)
・ローブロック(*自陣に押し込まれた状況での守備ブロック)
<イラク戦>
ハイブロック:38m
ミドルブロック:32m
ローブロック:23m
<インドネシア戦>
ハイブロック:35m
ミドルブロック:27m
ローブロック:21m
いずれのブロックでもコンパクトになっている。
そのなかで目を引くのは、昨年来、日本が得意とするミドルゾーンでのブロックの改善だ。イラク戦から実に5m、約15%もコンパクトにしてみせた。
その成果は、相手のシュート数にも表れている。前半、インドネシアに許したシュートは1本もなく、後半に許したシュートも3本。流れの中から枠内に許したシュートはなかった。
“冨安の声かけ号令”に久保らも応えた
言葉には、魂が宿る。
前線で戦う仲間たちに強度の高いプレスを求める以上は、自身も圧倒的なパフォーマンスを見せないといけない。冨安は個人的にも魂のこもったプレーを見せていた。その成果は以下の通り。