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「冨安健洋の声は少しも…」記者が感嘆した25歳DFリーダー“取材ウラ話”「叩きのめす、の表現にも責任感が」アーセナル仕込みのスゴみ
posted2024/01/27 17:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Masashi Hara
あれは、冨安健洋の「リーダー宣言」だった。
そう感じたのは筆者だけではないだろう。それはネット上の冨安への賞賛からもうかがいしれる。
インドネシア戦前日、大会公式会見での冨安健洋の振る舞いには、「冨安の覚悟」「チームメイトへの鼓舞」「監督への信頼」が表れていたと、カタールから遠く離れた日本でも好意的に受け取られたようだ。
冨安が口にした「叩きのめす」の背景
あの記者会見の顛末を簡単に記すとこうなる。
現在のボトムアップ型組織の良さを認めた上で「試合中の修正をなかなか上手くできない理由は、ボトムアップ型の構造的な課題ではないか」と森保一監督に質問した。すると「僕にとっての質問ではなくて、森保さんへの質問だったと思うんですけど」と断りを入れて、冨安が答え始めた(詳細はhttps://number.bunshun.jp/articles/-/860430)。
質問の機会を得た筆者は図々しくも、監督と冨安の両者に別々の質問を投げかけていた。冨安への質問は、下記の発言に込めた「想いやマインドセットを教えてください」というものだった。
「相手の勢いに飲まれず、むしろ僕たちから仕掛けて『叩きのめす気持ち』でやりたい」
取材を受ける人には、何に答えて、何に答えないかを決める権利がある。だから、冨安はあの日、自分に向けられた質問ではなく、監督への質問に答える決断をした。図らずも、それがリーダーとしての頼もしさを知らしめることになった。
自分たちにフォーカスすべきだな、と
それでも――。
会見翌日、インドネシア戦後に聞かずにはいられなかった。冨安はリーダーの一人であるため、その言葉に込めた〈想い〉はチームの意志を体現するものになるからだ。
冨安の普段の振る舞いを見ていれば、リスペクトを持って他人と接しているのは間違いない。「叩きのめす気持ち」という表現は、大前提にインドネシアのサッカーをリスペクトを持った上での発言なのは容易に想像がつく。
その上で、あえて力強い言葉を選んだのは何故なのか?
質問が稚拙で、意図が伝わらなかったのなら申し訳ないと詫びた上で「叩きのめす気持ち」という言葉に込めた想いについて聞いた。
冨安の答えはこうだった。