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「長期低迷の原因の1つは、私の考え方にある」オリックス前オーナー・宮内義彦がいま明かす後悔「野球だけ神聖化して赤字を許すことはできなかった」
text by
宮内義彦Yoshihiko Miyauchi
photograph byKatsuo Sugano
posted2024/02/10 06:01
自著『諦めないオーナー』で低迷期の後悔を綴ったオリックス元オーナーの宮内義彦氏。いま明かされる当時の考え方とは――。
私が求めていたのは「自立への歩み」です。この点については、歴代の球団社長に対してずっと口を酸っぱくして伝えてきました。
球団社長からすると、この指示は大変だったでしょう。特にパ・リーグとセ・リーグで人気に大きな差があった時期はつらかったと思います。お客さまがいきなり2倍に増えることはないですし、費用を半分に減らすような効率化も難しいですからね。
グループ事業の経営哲学
私はグループの各事業のトップに対して、やり方を細かく管理するような「マイクロマネジメント」(上司が部下の業務や行動に対して逐一チェックし、細かく指示を出すなど細部にわたって具体的に管理するマネジメント手法)はしません。目標を与えて、あとは自由に任せるスタイルです。進捗をレビューして、もし何か問題点があれば、一緒に協議して変えていく。日々の細かい数字にはタッチしないけれど、大きなところでの計数管理は徹底してやる。こうした経営手法で、オリックスは大きく育ってきました。
各セクションの責任者は、自分の会社のつもりでとことん事業の成長に打ち込み、成果を私に報告し、一緒に次の手を考える。例えば10の事業分野があったとすれば、そのうち8つくらいのセクションは、任せておいても問題ないレベル。残り2つのうち、1つは思いの外うまくいっている事業で、残りの1つは一生懸命手を入れないとどうにもならない火事場になっている。私の関心はこの2つにある。
とても目につき、気掛かりな、特別な事業体
恐らく、この2つに私のエネルギーの過半をつぎ込んでいたと思います。8つの事業に関しては、各部門の責任者に任せて時折背中を押してあげるくらいで十分。だから、そこまでエネルギーは消費しません。思いの外うまくいって伸びているところは、さらにドライブをかける策を考える。そして、問題は火事場の事業をどうするか。ここは本当にパワーが必要です。