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「長期低迷の原因の1つは、私の考え方にある」オリックス前オーナー・宮内義彦がいま明かす後悔「野球だけ神聖化して赤字を許すことはできなかった」
text by
宮内義彦Yoshihiko Miyauchi
photograph byKatsuo Sugano
posted2024/02/10 06:01
自著『諦めないオーナー』で低迷期の後悔を綴ったオリックス元オーナーの宮内義彦氏。いま明かされる当時の考え方とは――。
球団に独立採算を強く求めたのは、グループ全体で新しい事業が次々に生まれて成長し、前向きな経営に専念していた時期でした。その中で問題化している事業体に費やすエネルギーは大きなものです。球団を他の事業体と同一に見ていたわけではありませんが、問題事業体の隣でいつまでも赤字体質が変わりません。とても目につき、気掛かりな、特別な事業体でした。
とにかく「赤字を減らすように」
そのため球団に対しては、昨年よりも今年、今年よりも来年、とにかく「赤字を減らすように」と伝えていました。今思えば、この指令が少しきつかった。
20億円や30億円の赤字あるいは広告宣伝費は、オリックスグループ全体からすれば大した額ではありません。私が気にしたのは、売り上げに対する赤字額の大きさです。数百億円の売り上げがある事業ならばまだ理解できるのですが、球団の売り上げは1990年代半ば以降、40億~60億円程度で推移していました。
収入に比べて、支出が大きすぎる。私が貧乏性なのかもしれませんが、そこが気になって仕方がない。「何とか売り上げを増やすか支出額を減らせないか」という指令を、ずっと出していました。
<つづく>
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