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「長期低迷の原因の1つは、私の考え方にある」オリックス前オーナー・宮内義彦がいま明かす後悔「野球だけ神聖化して赤字を許すことはできなかった」
posted2024/02/10 06:01
text by
宮内義彦Yoshihiko Miyauchi
photograph by
Katsuo Sugano
長期低迷の原因の1つは、オーナーであった私の考え方
新生オリックス・バファローズとして迎えた05年も、4位に沈みました。その後、08年と14年こそ2位になりましたが、あとはずっとBクラス(4位以下)。この間、多くの監督や指導者を招き、また即戦力として他球団の選手を補強してみました。それでも、結果に結び付かない。そんな苦しい時期が続きました。
毎年、シーズン前の激励会では「今年こそ優勝を」と発破をかけるのですが、その言葉もむなしくなるほどの低迷です。本書で折に触れて書いてきましたが、この長期低迷の原因の1つは、オーナーであった私の考え方にあると思っています。
いま明かされる後悔
私の後悔。まず、私自身が球団に対して割くエネルギーや時間が圧倒的に足りなかったという点です。50代でオーナーになったときは、それこそオリックスという会社をどのように大きく成長させていくかでテーマや課題が山積みでした。プロ野球参入の理由も「知名度を一気に高められるから」でした。そしてこの目的を見事に果たしたのです。
それを果たした後はどうしても、本業に加え、政府関係や財界の仕事で頭がいっぱいになってしまった。プロ野球のことについては、一ファンとしてはともかく、経営者としては時折頭の中をよぎる程度の関心しか払えませんでした。
大変失礼な話ですよね。12人しかいないプロ野球のオーナーがこれではいけなかったのです。やはり、チームの成長や球界の発展に向けて、オーナーがしっかりと意志を持って動かなければいけなかった。
素直に、ファンの皆さんに申し訳ない
今はオリックスのシニア・チェアマンとして、会社の経営を後進に委ねて、一線からは外れています。だから野球のこれからについてもたくさん考える時間がある。この余裕が昔にあれば、オリックスというチームについてもっと理解を深め、何か別の手を打てたかもしれない。そうしたらこんなに長い低迷はなかったかもしれない――。
そこに関しては素直に、ファンの皆さんに申し訳ない気持ちです。