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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「駒澤大には敵対心を持っていた」創価大の元選手・濱野将基22歳は、なぜ“因縁の相手”の大ファンになった?「話してみると…」「母校はファン目線ではない」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byNanae Suzuki(L)/Yuki Suenaga(R)
posted2024/01/16 06:02
昨年の箱根駅伝まで創価大の6区として3年連続で山下りを任された濱野。卒業後に駒澤大を熱烈応援するようになったきっかけを聞いた
「正直、ここまですごい選手になるとは思っていなかったので。あれよ、あれよ、とスター街道を突き進んでいきましたから」
ただ、一途な“推し愛”はときに誤解を招くこともある。創価大OBとして、母校は一番気にかけているものの、「なぜ、他大学を応援するのか」という意見も耳にする。SNSには心ない書き込みもあった。
2021年には大逆転負け「敵対心も持っていました」
「人それぞれ考え方がありますからね。創価大は母校なのでファン目線とは、また違うんです。関係者に近い目線。駒大には97回大会(総合2位)で1度、大逆転負けをしているのでリベンジへの思いがあり、敵対心も持っていました。でも、実際に話してみれば、思った以上にみんな良い子で。他大学のOBに応援されると、彼らも嫌がるかなと思っていたのですが、逆に『ありがとうございます』と言われて……。人間的にしっかりしているな、と思いました」
佐久長聖高校の後輩でもある鈴木を通し、佐藤、篠原らとは徐々に親交を深めたものの、一定の距離は保つようにしている。親しき仲にも礼儀あり。昨年12月に焼肉屋でご馳走したときも、ナーバスな箱根駅伝の話題はあえて避けた。
創価大も同じくらいの思いで練習しないと…
「元選手だったからこそ、分かることもあります。例えば、区間の話などは聞かないようにしています。聞かれた方も気まずくなるかなと思うので。むしろ、彼らの競技に取り組む姿勢などを聞きました。世界を視野に入れているので体のメンテナンスを含め、意識は本当に高い。(佐藤)圭汰の趣味は温泉に入ることですから。創価大も同じくらいの思いで練習しないと、追いつけないと思いました」
12月29日の区間エントリーからずっと気をもんでいた。2区は主将の鈴木(4年)、3区はエースの佐藤(2年)。昨年3区の篠原(3年)は隠し玉の補員。往路の当日変更が気になっていた。濱野の読みでは3年生エースは4区での出走。もちろん、復路に回る可能性もあれば、そのまま欠場するパターンもあった。1月2日の6時50分。区間エントリーが発表されると、篠原はまさかの1区へ。これは予想外だった。行動計画も急きょ変更を強いられることに。それでも、年の瀬から99回大会の映像を何度も巻き戻し、地図で入念に区間それぞれの観戦ポイントは予習していた。
唯一写真を撮った1区
「沿道に3列、4列の人垣ができる場所は避け、1列目で声掛けできるところを探していたんです」