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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「駒澤大には敵対心を持っていた」創価大の元選手・濱野将基22歳は、なぜ“因縁の相手”の大ファンになった?「話してみると…」「母校はファン目線ではない」
posted2024/01/16 06:02
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Nanae Suzuki(L)/Yuki Suenaga(R)
現役時代とは違う緊張感
昨年からマニアのように追いかけてきた大学駅伝の大一番はお正月だった。1月2日は午前3時半に起床し、5時半過ぎには大手町の読売新聞社前に到着。サラリーマン1年目の元箱根ランナーは始発で駆けつけたが、徹夜組と思われる先輩の“駅女”(駅伝好きの女子)たちはまだ暗い沿道ですでに場所取りをしていた。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝と大学三大駅伝を行脚し、あらためて箱根駅伝の人気を再確認。97回大会から3年連続で山下りの6区を走った創価大OBの濱野将基は、わくわくよりもそわそわしていた。
「現役時代とは違う緊張感がありますよね。選手たちには結果を求めるよりも悲しい思いをしてほしくないんです。無事に走り切ってほしい、という感じ。親と同じような気持ちですかね。駒澤大の3人(篠原倖太朗、鈴木芽吹、佐藤圭汰)の状況は把握していなくて。ケガなくスタートラインに立ってくれるかが心配でした」
恐る恐る話しかけてみると…
濱野は卒業後、実業団に進まず、建設系の一般企業に就職。現在は駅伝オタクとしてファン目線で藤色の名門を追いかけている。なぜ、駒澤大を推すようになったのか――。選手時代から陸上競技を見るのが好きだったことに加え、篠原の人柄に惹かれたのだという。きっかけは1年前の大手町。23年1月3日、箱根駅伝の閉会式前に読売新聞社内の待機場所で、佐久長聖高校時代の同期である駒大の宮内斗輝や、円健介(当時4年)らと写真を撮っているときに、すぐ近くに篠原の姿も見えた。99回大会の3区で区間2位と好走した2年生には当初、近寄りがたい怖いイメージを抱いていた。
「1年生から結果を出していたので、ブイブイいわせていると思っていたんです。でも、恐る恐る話しかけてみると、めちゃめちゃ良い子で。快く一緒に写真を撮ってもらいました。僕のSNSにも掲載させてもらい、そこから一気にファンになり、この選手を応援していこうって」
駒澤への熱烈応援に「なぜ、他大学を応援するのか」
推しの成長ぶりは目覚ましかった。23年2月の丸亀ハーフマラソンで日本人学生歴代1位となる1時間00分11秒をマークし、3月の日本学生ハーフマラソンでも優勝。想像をはるかに超える活躍により、“推し活”の熱量も自然と増していった。