- #1
- #2
セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
アジア杯落選…鎌田大地が語った「難しい時期」は続くのか「カマダを信じる。だが」ラツィオの戦術魔サッリも本音で悩む「文化の問題」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byInsidefoto/Getty Images
posted2024/01/04 17:01
ラツィオで「難しい時期」が続く鎌田大地。打開するのはクラブの戦略か、それとも鎌田自身のアクションか
24歳のMFゲンドゥージは「ミリンコビッチの後継者レースで鎌田を凌駕した」(ガゼッタ紙)。中盤から前にダイナミズムをもたらし、コッパ・イタリアでの印象的な決勝ゴールと明るい性格で今やサポーターたちのアイドルになった。U-21イタリア代表の若き司令塔ロベッラはレジスタとして徐々に才気を発揮、昨季までレギュラーだったMFカタルディからスタメンの座を奪っている。
試合後の会見で、指揮官サッリはほぼ2カ月半ぶりにゴールネットを揺らした25歳のカステラノスと嬉しい初得点を決めた22歳のイサクセンの名を挙げ、「昨夏入団した彼らは皆、順応に苦労してきたと思うがよくやっている」と目を細めた。
カマダの気持ちを汲み取ることが…文化の問題かもしれん
ただし、顔色が曇ったのは彼らの後に鎌田の名を口にしたときだ。
「鎌田の気持ちを汲み取ることが難しい。文化の問題かもしれん」とぼやいた。
「本当に感情を見せない青年で、周囲と打ち解けない。何がうまくいっていないのか、それを聞き出すことすら難しくなっている」
サッリの声には“あれほどフランクフルトでやれていた選手なのに、順応にここまで苦しむとは想定外だ”という戸惑いがある。
鎌田は決してプレーする機会を与えられていないわけではない。
昨年末時点でのセリエAとCL、コッパ・イタリアを合わせた試合数と総出場時間でラツィオの中盤6人を比較すると、大黒柱ルイス・アルベルトの1694分(22試合)を筆頭に、ゲンドゥージの1480分(23試合)、ロベーラの1105分(18試合)と続く。鎌田は1001分(21試合)をプレーしている。
そもそも即戦力として期待されていたからこそ、セリエAでもCLでも開幕戦からスタメン起用されたのだ。他の選手たちからすれば、破格の好待遇だったともいえる。
11月初旬に漏れ出た「プレー時間がここまで少ないとは思っていなかった」という趣旨の本人コメントにはサッリ監督も驚いたのではないか。
敗れたがCLインテル戦が鎌田のベストゲームだったワケ
事あるごとに擁護してきた親分からすれば“鎌田には開幕戦からセリエAで先発起用したようにプレー時間は十分与えている。これまでのカップ戦での経験を買って、CLやコッパ・イタリアでもスタメンで出した。イタリアは初めてでも欧州での生活は長く、順応への時間も猶予もあった”という認識だろう。27歳の鎌田は若手とはいえない。
チャンスはあった。