「広岡達朗」という仮面――1978年のスワローズBACK NUMBER
ヤクルト監督時代の広岡達朗は巨人を意識しすぎていた？ 大矢明彦が指摘する“コンプレックスの所在”「他球団の話ばかりされるのは…」
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph bySankei Shimbun
posted2023/11/15 11:01
1978年のオールスターで言葉を交わすヤクルトの広岡達朗監督と巨人の長嶋茂雄監督。現役時代は巨人で“球界屈指の三遊間”を形成した
「森さんはとにかく、“ジャイアンツはたいしたことない”とか、“ジャイアンツは強くない”とおっしゃっていましたね。でもね、これは個人的な考えですけど……」
ひと呼吸おいて、大矢は続けた。
「……こうしたことをミーティングで発言する狙いはわかります。ただ、選手からすれば“ジャイアンツではこうだった”と、他球団の話ばかりされるのは、すごく気になるんです。確かにジャイアンツは強かったし、僕らだって“勝ちたいな”とは思っていました。でも、生意気な言い方になるかもしれないですけど、僕らよりも、広岡さんや森さんの方が、ジャイアンツに対する意識は強かったような気がしますね」
伝統ある巨人OBである広岡や森の方が、むしろジャイアンツコンプレックスを抱いていたのではないか――。大矢の指摘は、ひょっとしたら正鵠を射ているのかもしれない。広岡、そして森が抱いていた巨人への恩讐について、さらに質問を重ねた。
＜第2回に続く＞
