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《昨季は悲願のワールドカップ初優勝》世界のトップを目指すクライマー・吉田智音が語る母校・摂南大学の魅力と学業との両立の重要性

posted2026/02/27 11:30

 
《昨季は悲願のワールドカップ初優勝》世界のトップを目指すクライマー・吉田智音が語る母校・摂南大学の魅力と学業との両立の重要性<Number Web> photograph by Lena Drapella

今季はW杯年間優勝を目指す摂南大学国際学部3年生の吉田智音

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph by

Lena Drapella

「世界ランキングは7位が最高で、5位以内を目標にスタートしたシーズンでした。まさかここまで成績が上がるとは、正直なところ予想していなかったんです。ただ、シーズンを通して安定した成績を残せたことはすごく自信になります」

 昨年5月、バリ(インドネシア)で行なわれたクライミングのワールドカップ・リード種目で摂南大学に在学中の吉田智音(さとね)が初優勝を果たした。「長年目標にしてきた」という優勝を、26度目の出場で実現。さらに9月に開催された世界選手権では準優勝、W杯年間総合ランキング3位、世界選手権を含めた世界ランキングでは1位を獲得するなど、日本の次世代エースは一気にリード部門で世界トップクラスへと駆け上がった。

 高校1年で日本一になりユースのトップ選手として活躍していた有望株は、大学進学かプロ転向で悩んでいた。そんな彼が摂南大学を選んだのはスポーツクライミング部が新設され、専用のクライミングウォールの整備が進んでいたからだった。

 2022年4月に発足したスポーツクライミング部は現在、大学の指定強化団体として27人の部員が活動している。吉田の他にもワールドクラス・全日本クラスの選手が9人在籍。2024年2月には寝屋川キャンパスに国際基準を満たすクライミングリード壁が完成し、移動時間ゼロで世界仕様の練習が可能となった。今春にはボルダー壁も完成予定で、環境が選手の成績を押し上げているといっても過言ではないが、そこで日々トレーニングに励んでいる吉田も大きなメリットを感じている。

「世界レベルの壁が身近にあるのはとてもありがたいです。授業の合間など空いている時間にも練習ができますし、仲間とも一緒に登ることができますから。3年生になって後輩も増えたことで、新たな刺激をもらっています」

 吉田が国際学部を選んだ背景にも明確な意図がある。競技柄、海外遠征が多く、海外の選手やコーチとのコミュニケーションも必要になる。国際大会での情報収集や海外メディアの対応など、英語力は必須だ。国際学部での学びを世界で戦うための武器として活かしている。

「自分が活動している舞台は世界。高校2年生頃からオンライン講座などで英語力を磨いてきましたが、キャリアを続けて行く上で武器になるものを大学で身につけたいと考えていました。それが『語学』だったんです。また、国際学部は言語のみならず、世界各国の歴史なども学びます。自分と関係性が深い国や地域の歴史的な背景などを知ると、その国や地域に対する愛着が湧き、理解も深まります。長い目でみると自分自身のキャリアの成長にもつながっていくと感じていますね」

 世界を舞台に活躍するため遠征も多いが、授業の履修計画を工夫したり、大学のサポートを受けながら、学業と競技活動を高いレベルで両立させている。自己管理能力も鍛えられた。

「サポートがなかったら、これほど成果を出せていなかったと痛感しています。自分の挑戦を後押ししてくれている大学には感謝しかありません」

 今春から4年生となる吉田の大学生活も残りわずかとなった。今年も競技を軸に活動を行なうためキャンパスライフを満喫する余裕はなさそうだが、卒論は人生を捧げてきたクライミングに関連したテーマを準備しているという。

 今季は「生涯の目標」と設定しているW杯年間優勝を目指し、精進していく。それは決して遠くない目標だ。

「確実に獲れるという自信があるので、貪欲に目指していきます!」

 大学で実力を伸ばし、世界トップレベルに到達した吉田。競技以外の学びも力に変え、さらなる成長を誓う。

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