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アルゼンチン戦のポイントはズバリ「キック」と「密集」《ラグビーW杯》運命の「10.8決戦」日本に必要な“最後の1ピース”の正体とは?
posted2023/10/07 17:19
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Kiichi Matsumoto
大会中に成長するチームと、衰退するチームがある。2023年W杯のラグビー日本代表は前者だろう。4大会連続出場のFLリーチマイケルは、大会2勝目を挙げた第3戦サモア戦後に取材ゾーンで確信を語った。
「間違いなく、試合ごとの課題をクリアできている」
大会初黒星を喫した第2戦イングランド戦は、得点機のアタック精度が課題になった。
4点ビハインドで迎えた後半。45分から60分までに「チャンスが3、4回あった」(PR稲垣啓太)が仕留めきれず、ノートライに終わった。
サモア戦はその課題をクリア。前半13分にモメンタム(勢い)を殺さずにフィニッシュすると、同32分にはFLリーチが2トライ目。覚醒した感のあるSO松田力也の絶妙なパスから、チャンスを仕留めた。
イングランド戦で66.7%まで落ち込んだラインアウト成功率も、サモア戦では87.5%に飛躍。「『取れるところで取る』というシンプルなこと」(PR稲垣)にフォーカスした結果だった。
大会前、HO堀江翔太が19年大会の日本代表との違いについて「理解が速く、すぐ連携が深まる」と語っていた。16年就任のジェイミー・ジョセフHC体制は2大会目。成熟期のチームは、高い戦術理解度、綿密なコミュニケーションで着実に課題を克服している。
運命のアルゼンチン戦。注目ポイントは…?
そして2大会連続の決勝トーナメント進出を懸けた、第4戦アルゼンチン戦だ。
10月8日の一大決戦では、まずサモア戦で表出した課題をクリアしたい。
サモア戦の終盤、ラック周辺の衝突局面で後手に回った。タックルで「カードが怖くて下、下にいった」(FLリーチ)ことで、相手フォワードの縦突進に対して受け身になった。
アルゼンチンも「フィジカリティが武器」(FLパブロ・マテーラ)であり、サモアほどの重量感はないものの、助走をつけた突進は激しい。衝突局面のタックル精度での劣勢は決定的な突破に繋がりかねず、修正が必要だろう。