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「日本に帰化したり、通名にする選択肢もあったはず」“朝鮮高校初の”ラグビー日本代表、李承信22歳の覚悟…朝鮮高校の現実「年々生徒数が減っている」
posted2023/10/07 11:11
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Getty Images
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「日本に帰化したり、通名にする人も多い」
ラグビーでは国籍に関係なく、居住歴などの条件を満たせば代表資格を得られる。そのため、今大会のW杯日本代表も南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、フィジー、トンガや韓国など様々な出身の選手たちで構成されている。
李承信(リ・スンシン)は韓国籍の在日3世で、大阪朝鮮高校出身だ。過去に在日コリアンでラグビー日本代表入りした選手はいたが、朝鮮学校出身者としては初めての日本代表となる。だが、日韓関係が複雑に絡み合ってきた歴史もあり、李承信が日の丸を背負ってプレーすることについて、一部で批判的な目を向けられたこともあった。
李承信の従弟で、大阪朝鮮高校ラグビー部でともに汗を流してきた朴祐亨(パク・ウヒョン)さんは、李承信の覚悟についてこう話す。
「もし承信が自分だけのことを考えていたら、国籍を変えることもできたでしょうし、“李承信”という名前にこだわらず通名を使うこともできたはずです。
実際に在日コリアンのなかにも日本に帰化したり、進学や就職のタイミングで通名にする方も多いんです。そうすることで批判されることも少なくなるでしょうし、楽に生きられますから。ただ、承信は在日の人のため、パワーや勇気を与えるためにも、あえて自分のルーツを明かしているんじゃないですかね」
「年々生徒数が減っています」朝鮮高校の現実
在日コリアンという独特なコミュニティで育ってきたからこそ、同じルーツを持つ同胞や後輩たちのために――。そこには、マイノリティだからこその強いこだわりがあるのかもしれない。
中学校時代からラグビーで注目され、数多くの強豪校からスカウトの声がかかりながらも、大阪朝鮮高を選んだ事実がそのことを物語っている。