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アルゼンチン戦のポイントはズバリ「キック」と「密集」《ラグビーW杯》運命の「10.8決戦」日本に必要な“最後の1ピース”の正体とは?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/10/07 17:19
ファウルが増えると予想されるアルゼンチン。松田のペナルティゴールでどこまで圧をかけられるか
サモア戦はラインアウトモールのディフェンスも課題だった。前半36分、HO堀江の一時退場でフォワードが1人少ない状況ではあったが、モールでインゴールを奪われている。
この場面を見て、高強度のモールを組むアルゼンチンの首脳陣は、勝負できる、と考えたかもしれない。アルゼンチンのラインアウトは直近2試合の32回を全成功。計算が立つ重要なプラットフォームになっており、ラインアウトやモールこそ、是が非でも発揮したい強みだろう。
逆を言えば、ラインアウトやモールで日本に対抗されると、アルゼンチンは大きな武器を失う。
アルゼンチンの元主将であるHOアグスティン・クレービーは、日本戦を念頭に「近年の試合はスクラムとモールで決まる」と語ったが、アルゼンチンのスクラムは武器になっていない。イングランド戦、サモア戦で苦戦しており、両国と互角に戦った日本を凌駕するとは考えにくい。
フェーズ攻撃も完成度はさほど高くない。フォワードは機動力があり集散こそ速いが、肝心の連続攻撃でエラーが目立つ。サモア戦後に日本のジョン・ミッチェルDFコーチが「(アルゼンチンは)今大会バックスが目立っていない」と語れば、FBレメキロマノラヴァも「アタックは全然怖くない」と言い切った。
アルゼンチンは歯車がかみ合っていない…?
大会中に成長するチームと、衰退するチーム。もしかしたらアルゼンチンは後者なのかもしれない。WTB松島幸太朗の決戦へ向けた会見のコメントにこうあった。
「(アルゼンチンは)ワールドカップが始まる前はすごく完成してきている、というイメージでした。やはりワールドカップの雰囲気は全く違うと思いますし、そのプレッシャーがあって、歯車が合ってない感じはしています」
しかしアルゼンチンにはまだ特長がある。
「アルゼンチンはキックが怖い。たとえばハイボール」(FLリーチ)