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アルゼンチン戦のポイントはズバリ「キック」と「密集」《ラグビーW杯》運命の「10.8決戦」日本に必要な“最後の1ピース”の正体とは?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/10/07 17:19
ファウルが増えると予想されるアルゼンチン。松田のペナルティゴールでどこまで圧をかけられるか
蹴り上げたボールの獲得競争は、日本がイングランド戦で特に苦戦した領域だ。
アルゼンチンは好キッカーが多く、競り合いも強い。スタンドオフとして2試合先発のサンティアゴ・カレーラスは元バックスリーであり、ハイボールキャッチも得意だ。日本は「ハイボールをキャッチする人がボールを取ることに集中できる環境」(WTB松島)の構築が重要になる。
プレースキックも警戒が必要だ。
WTBエミリアーノ・ボフェリは60m弾も決められるモンスターブーツ。中盤から自陣にかけての重い反則は、ペナルティゴールでの3失点に繋がる。一般的に最も反則が多いブレイクダウン(ボール争奪局面)を中心に、不用意な反則を極力減らしたい。
規律面は、正確なプレーを信条とする日本に分があるだろう。
今大会プール3試合の反則数は日本が22回。アルゼンチンは33回だ。2020年に解散したアルゼンチン代表選手を中心としたスーパーラグビーチーム「ハグアレス」は、反則数が毎年の課題だった。アルゼンチンの「情熱的なプレー」と「規律難」はコインの表と裏だ。
ペナルティゴールでアルゼンチンに重圧を
勝敗に大きな影響を与える規律面。
日本がそこで優位性を発揮するためにも、心理的プレッシャーを与えるペナルティゴールによる加点は重要だろう。
日本には今大会絶好調のSO松田の右足がある。プレースキック成功率は94%。3試合で16本中15本成功と絶好調だ。スコアボードに刻まれる点数は心理的圧力となり、相手を焦らせ、相手の反則リスクを増加させるだろう。
日本は19年大会と同様、大会中に自信を深めている。
キャプテンのNO8姫野和樹が言っていた。
「自分たちのラグビーに対して、自信をもってプレーすることで、自分たちのラグビーは完成すると思います」
揺るぎない自信が、最後の1ピースだ。運命の「10.8決戦」。23年W杯日本代表のラグビーは完成するか。