酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平の試合でおなじみ「ピッチクロックで“25分短縮”」に米国はポジティブ…WBC連覇へ「平均3時間11分」NPBも導入必須では?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byEzra Shaw/Getty Images
posted2023/10/09 11:00
大谷翔平の試合を見ているとよく目にしたピッチクロック。日本プロ野球でもやはり導入の必要性がある?
野球は競技人口が近年急速に減少している。さらに初めてスタジアムに来た初心者の中には「なぜこんなに長いの?」という声を漏らす人もいる。
一方で「プロ野球は見ないが、高校野球は見る」という人もかなりいる。高校野球の平均試合時間は2時間10分ほど。筆者は、毎年春と夏に甲子園を1日観戦する日を設けているが、4試合見てもそれほど疲れない。同じ9回戦制の野球でありながら、なぜこんなに試合時間が違うのか、といつも思う。
高校野球に関しては一部に「審判が選手を急かしすぎる」との批判があるようだが、野球の試合は本来「2時間と少し」で行うべき競技であり、それをプロが不必要なまでに引き延ばしている、という見方もできるのではないか。
そもそも公認野球規則には“12秒ルール”がある
そもそも「ピッチクロック」は新ルールではない。もともと公認野球規則にはこういう記述がある。
《公認野球規則2023 5.07(C)投手の遅延行為》
塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後、12秒以内に打者に投球しなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する(以下略)。
本来、野球規則では、無走者の場合「ピッチクロック」よりも短い「12秒ルール」が定められているのだ。プロ野球はこのルールを守らず、審判もここまで注意せずに来てしまったのだ。2009年にNPBでは、15秒以内に投げない投手に遅延行為としてボールを宣告したことがあったが、現場の混乱もあり、いつの間にかうやむやになってしまった。
現場の混乱は当然あると思うが、連覇を狙う次回WBCのことを考えても、今こそMLBの基準に合わせて「ピッチクロック」を導入すべきと思う。デメリットよりもメリットが大きいのは明らかである。