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大谷翔平の試合でおなじみ「ピッチクロックで“25分短縮”」に米国はポジティブ…WBC連覇へ「平均3時間11分」NPBも導入必須では?
posted2023/10/09 11:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Ezra Shaw/Getty Images
今季も最終盤を迎えている。順位争いが絡んだ試合になると、バッテリー間のサインの交換も頻繁になる。走者へのけん制も増える。投手交代も増える。5回の時点で試合時間が2時間を経過すると「ああ、また3時間半ゲームか」と思うことも多くなった。
今季のMLBの試合中継、例年通りパソコンに向かいながら視聴していたが、大谷翔平が出ている試合でも「あっという間に終わった」印象があった。今季から「ピッチクロック」が導入されたことで、試合時間が大幅に短縮されたのだ。
〈2019年以降のMLBの平均試合時間(9回)の推移〉
2019年:3時間10分
2020年:3時間6分
2021年:3時間10分
2022年:3時間6分
2023年:2時間42分
昨年に比べて今年の試合時間は約13%、25分も短縮されたのだ。これは劇的な変化だと言うべきだろう。
MLBは、北米4大スポーツ(ナショナルフットボールリーグ=NFL、ナショナルバスケットボールアソシエーション=NBA、ナショナルホッケーリーグ=NHL、MLB)の中では最古の歴史を誇るが、それだけに高齢のファンが多く、若年層からの支持が弱かった。プロスポーツのマーケットでは守勢に回っていた。
1試合3時間超の長さはネックだった
とりわけ最大のネックは「試合時間の長さ」だった。
NFL:15分×4クオーター
NBA:12分×4クオーター
NHL:20分×3ピリオド
MLB 時間無制限9イニングス ※1試合平均3時間超
NFL、NBA、NHLではハーフタイムショーやインターバルなどでたっぷり時間をとるので、スタジアム滞在時間は3時間前後になるが、試合で集中する時間はMLBの半分以下だ。こうしたスピーディな試合展開に慣れた若い世代にとって、延々と試合をするMLBは悠長で耐え難いものとなっていた。
2015年に就任したMLBのロブ・マンフレッドコミッショナーは、MLBに若いファンを呼び込むために「時短」施策を次々と打ち出した。
2017年:申告敬遠
2020年:ワンポイントリリーフの禁止、延長タイブレークの導入
あらためて「ピッチクロック」ってどんなルール?
延長タイブレークの導入は、新型コロナ禍対策という側面もあったが、選手にも好評で継続された。