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核心にシュートを!BACK NUMBER
鎌田大地27歳「監督たちからすごく評価されている」新境地の数値「2.3」…ラツィオでの「苦しい時期」に見る伸びしろ〈CL現地取材〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMondadori Portfolio/Getty Images
posted2023/09/22 18:15
CLアトレティコ戦に先発出場した鎌田大地
とりわけラツィオがボールサイドに選手を大きく寄せてプレスをかけてくるのを理解したアトレティコが、上手に逆サイドへと展開することで、局面を打開する場面が増えていった。これで、ラツィオの攻撃の時間は削られ、守備に回る時間が長くなった。前半は44%だったアトレティコの支配率も、後半だけを見れば53%にまで上昇した。
それでもホームの大声援を受けたラツィオは強引な突破や、遠目からのシュートで打開を図る。ただ、前半と比べても力任せになっていた攻撃では、前線から最後尾までコンパクトに守るアトレティコの守備を崩せそうな場面はなかった。
そんな中で生まれたのが、後半のアディショナルタイム5分が過ぎた場面でのGKプロヴェデルの同点ゴールだった。
鎌田のパフォーマンスはどうだったのか
では、鎌田のパフォーマンスはどうだったのか。
前半はボールを持てていたラツィオの中で、鎌田は相手のプレスからの出口を作り続けた。タイミングよくスペースに顔を出す場面もあれば、高い位置から低い位置まで全速力で降りてきて、パスを引き出す場面もあった。そして、パスを受けた鎌田はそれを味方に返したり、他の選手に展開することで攻撃を機能させていく。先日の日本代表のドイツ戦でも、そのような場面でほとんどミスをしない鎌田のプレーが見られたのは記憶に新しいが、相手のプレスなどの強度が上がる試合でこそ、そうした役割の価値は高まっていた。
それでいて、チームが高い位置までボールを運んだときには、相手ディフェンダーの間で受け、フィニッシュの起点づくりにも汗を流す。前半12分にバイタルエリアの中央の密集したエリアで縦パスを引き出し、フリックしてインモービレに合わせ、すぐにリターンを受けてミドルシュートを放った場面はその典型だった。普段のリーグ戦でも任されている役割はそつなくこなして、前半は攻撃のリンクマンとして機能した。
ただ、後半になると、ボールを持てなくなったチーム同様に良さを出せる場面は減ってしまったのは確かだ。
後半に見えた“ラツィオ移籍後の変化”とは
それでも、後半には、ラツィオに行ってからの鎌田の変化を示す象徴的な場面があった。