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核心にシュートを!BACK NUMBER
“現地報道は辛口”だけでは見えない遠藤航30歳リバプールEL初戦の背景「失ってはダメですが…」クロップ監督も「ミス自体はあり得るぞ、と」
posted2023/09/22 18:21
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
John Powell/Getty Images
議論を呼びそうなところにこそ、真実は隠されている。
リバプールのヨーロッパリーグ(EL)初戦、LASKリンツとのアウェーゲームでのこと。1-1の状況で迎えた58分。遠藤航が途中交代でベンチに下がる少し前のプレーだった。自陣エリア外にいた遠藤は、自陣エリア内にいたコナテからのパスを受けながらターンすることで、勢いよくボールを奪い返そうとしてきた相手をかわそうとした。
しかし、そこでボールを奪われ、相手チームにシュートまで持っていかれてしまった。その直後、60分にリバプールは3枚同時交代を敢行。遠藤もベンチに下がることになった。そこから、主力組の多くが試合に出たことで2点を奪ったリバプールが3-1で初戦をものにした。
印象が悪くなるのはわかっているんです。でも
イングランドの地元メディアがこのシーンを指摘したとの報道もあるなど、 一部の人は鬼の首をとったように、やり玉にあげるかもしれない。
しかし、試合後の遠藤は落ち着き払って、あの場面を振り返っていた。
「印象が悪くなるのはわかっているんです。でも、あそこは、(逆転ゴールとなる)2点目を取りに行くトライで。クリアするのではなくて、繋げれば……というところだったと思うので。もちろんあそこで失ってはダメですけど、相手をはがせればチャンスになる。どこまでリスクを負うかというところですよね」
この発言が決して言い訳に聞こえないのは、遠藤がこれまで、似たような場面で相手のプレスをはがすプレーを見せてきたからだ。
例えば、昨シーズンのシュツットガルトでのこと。シーズン後半戦の遠藤のプレーで際立っていたのは、相手の猛プレスを強引にはがす場面だった。攻守の切り替えを大切にするブンデスリーガの舞台では、チームとして守備から攻撃に移る局面でボールを受けると、相手が即時奪還を目指してゲーゲンプレスをかけにくる。そうした場面で、遠藤が相手をかわすシーンが続出していた。
むしろ、そこで個の力で相手の猛プレスをはがすところが、昨シーズンのなかでもっとも成長したのではないかと思わせるほどだった。
最終的には勇気と落ち着きですよね
今回の対戦相手であるLASKよりもレベルの高い相手のゲーゲンプレスを面白いようにはがせている要因について、当時、こう答えていた。