濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「事務所に怒られるかな…でも本当のこと」“セクシー女優”レスラーの告白…「病んでいた」休養期間、ちゃんよたを救った“兄との電話”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/09/21 11:03
元警察官でありセクシー女優でありプロレスラー。異色の肩書を持つちゃんよた
プロレス復帰戦で見せた“レスラーとしての本質”
8月13日のプロレス復帰戦では、高校時代にウェイトリフティングで3度の優勝歴を持つ尾崎妹加に勝利した。尾崎はケガを抱えていたが、それを差し引いても格上からの金星は大きい。試合後には、同じパワーファイターとして技のアドバイスももらったという。
ちゃんよたは山下りな、夏すみれといった実力のある先輩たちから可愛がられる。同じリングに上がることで信頼を勝ち取ったのだ。体を見れば、あるいは組み合えば、積み重ねてきた努力が伝わるのだろう。そこに匿名コメントの出る幕はない。プロレスラーとしての実質、本質しか通用しない。
「これからは弱い自分も隠さないようにするし、人と比べないようにしたいです。自分と同じ活動をしている人はいないので。それに頑張ることは好きですけど、頑張り方を考えなきゃいけないなと思うようにもなりました。これまではガムシャラなだけで、何のためにどう頑張るのかを考えてこなかったなって。トレーニングして撮影して、疲れることで満足しちゃうというか」
ちゃんよたが「ビックリするし怖い」と感じる風潮
リングでは毎回、自分の力を出し切りたいという。力をつけるだけでは目的の半分だ。出し切って、観客に届けることで、つけた力に意味が生まれる。多彩な活動の中で伝えたいこともある。
「それは、トレーニングをする女性は魅力的なんだっていうことです」
女性の筋トレはかなり普及してきたイメージがあるが、ちゃんよたの感覚からするとまだまだ。ダイエットも含め、日本では体作りに関する誤解が多いと感じるそうだ。
「たとえば“筋トレしたらムキムキになっちゃう”とか。筋肉つけるのはそんな簡単なことじゃないですから(笑)。それに、日本は痩せていることが美しいことだという考え方が強すぎると思うんです。昔ながらの“女性の美しさ”のイメージのままで、美しさの幅がまだまだ狭いんだと思います。それを女の子たちも信じている。魅力的になるためには痩せなきゃいけない、痩せるためには食べちゃいけないみたいな考え方は、自分からするとビックリするし怖いです」
日々トレーニングに励み「女はこうあるべき」を少しずつでも壊していきたい。そのためにはYouTubeもAVもプロレスも、すべてが武器になる。他の誰とも違うキャリアは、弱い自分を隠さず愚痴を言ったり弱音を吐くという“強さ”を得たことでさらに前進していくだろう。