濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「母に伝えた時は…泣かれましたね」パワーリフティングでも優勝した“セクシー女優”が、本気でプロレスに挑戦するワケ
posted2021/09/13 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
変な話だが、プロレスの世界には2種類のデビューがある。“プロレスデビュー”と“プロレスラーデビュー”は厳密には違うのだ。リングデビューとレスラーデビューの違いと言ってもいい。
前者は、プロレスラーになるための練習を一から積んでいないパターンだ。芸能人など異ジャンルの人気者が、企画としてリングに上がり何かしらの動き、技を見せる。それを“デビュー”として売り出す場合が、この世界にはある。簡単に言えばゲスト出演。当然、継続的に試合をするわけではない。それをも許容するのがプロレスの懐の深さだとすることもできる。
“筋肉女子YouTuber”で大手AVメーカーの専属女優でもあるちゃんよたがプロレスで「デビュー」するというプレスリリースを見て、最初に思ったのは「これ、どっちなんだ」ということだ。企画としてリングに上がるだけなのか、それとも一から練習してプロレスラーになるのか。結論から言うと後者だった。
何度も「失礼のないように」
6月のデビュー発表会見では、緊張しながら何度も「失礼のないように」と語っていた。プロレス界に、プロレスラーに失礼のないように頑張るという意味だ。練習を取材に行くと、男子選手に混じって受身やロープワーク、グラウンドでのバックの取り合いなど基本的な動きを反復していた。練習仲間の試合ではセコンドにつき、チケット販売の売店にも立つ。どこからどう見ても“プロレスの新弟子”だ。
デビュー戦は9月14日、新宿FACEでの『P.P.P.TOKYO』。ベテランのバンビと組み、真琴&松本都と対戦する。プロレス入りのきっかけもP.P.P.だった。主宰する三富兜翔(みとみかぶと)とウェイトトレーニングのジムが一緒だったことから大会を観戦し、出場していた夏すみれに感動したという。
「プロレスを見るのは初めてだったんですが、胸の奥が熱くなるような感じがしました。とにかく強くてカッコよかった。これは自分にはできないとも思いました。でも、できたら凄いんじゃないかとも思って」